中国の消費者は国産品を好む――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
2007年10月30日(火)19:13
(フィナンシャル・タイムズ 2007年10月28日初出 翻訳gooニュース) 上海=ジェフ・ダイヤー
中国の消費者のほとんどは、外国製のものよりも国産品を信頼するという。コンサルタント会社マッキンゼーの発表でこのほど明らかになった。急成長する中国市場で浮上しつつあるナショナリズムに、多国籍企業は注意が必要だというわけだ。
欧米では今年、中国製品の安全性をめぐって大騒ぎになった。しかしマッキンゼーの調査によると、当の中国では、消費者は国産品の品質について自信を高めているという。
マッキンゼーの中国部門を率いるアンドリュー・グラント氏によると、自分たちの製品がどこそこの外国で作られたものだと強調して、それをセールスポイントに中国市場に食い込もうとねらっていた多国籍企業は、今後、中国で苦戦するかもしれないという。
「(外国製をセールスポイントにするという)そのモデルは、外国企業がまだ上海の富裕層のみをターゲットにしていた10年前なら有効だったかもしれない。けれども、豊かな消費者の層がもっと幅広くなった今、その戦略にはもうそんなに効果がない」とグラント氏。
調査結果によると、回答者6000人のうち、中国の国産品が好きだと答えた人は53%。2005年に行った同様の調査では、46%だった。
同種の調査を複数の国で実施しているマッキンゼーによると、これほどの短期間で消費者心理がこれほど変化するケースは、珍しいという。
外国製品を「強く」あるいは「まあまあ」好むと答えた中国の消費者は、わずか11%。さらにこの約半分は、外国製と同程度の品質あるいは価格の国産品があれば、国産品を選ぶと答えている。
国産品と同程度に、あるいは国産品以上に、外国製品が好まれている分野は、消費者家電と自動車のみだった。とはいえ自動車についても、中国製の国産車の人気はどんどん高まっている。
しかし、どの製品が国産でどの製品が外国製なのかについて、中国の消費者がかなり混乱しているのも事実だ。これは多国籍企業にとって朗報だ。中国では多くの消費者が、実は外国製の商品を国産品だと勘違いしている。
たとえば、2種類の歯磨き粉について、実はどちらも有名な米国ブランドなのだが、回答者の8割以上が「中国製だと思っていた」と答えている。
「中国市場で成功している外国企業というのは大抵の場合、ほかの市場でのやり方をそのまま持ち込んだりしない。中国の人たちの声をじっくり聞いて、地元チームを組んで中国ならではブランド・マネージメントを展開するために、本当に努力している」とグラント氏。
マッキンゼーはさらに、中国市場に新製品を送り込むためには、外国企業はもっと積極的にならなくてはならないと指摘する。
「先進国の市場なら、企業はだいたい3年に一度、自分たちのブランド・イメージ刷新を図る。しかし中国では、半年に一度は何か新しいことをしなくては」
これまで多くの中国企業は、安くてそこそこの品質の製品を作ることで満足していた、とグラント氏は言う。
しかし今や多くの中国企業は、中国の消費者に好まれる国産ブランドを作り上げるため、資本を投入できる、そういう立場にある。中国企業は今、大きなチャンスを目の前にしているのだ。
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中国の工業製品もだいぶ良くなってきたし、オリンピックを控えて政府も努力しているし、世界も中国から大量に製品を買うようになってきたので、技術面でも大きく向上したと思う。
そして、最大の利点は価格の問題だと思う。
この記事では、外国製品と同価格なら国産品を買う、と書かれていますが、現実に中国国内で販売されている中国産は、価格の面ではかなり安いと思う。
ただ、気になるのは外国製品を国産品と勘違いしているところで、五木ひろしさんや千昌夫さんの曲を、「中国の歌」と勘違いしている人も多かったことからも理解できるが、これは情報が正しく伝わっていないことを意味するので、もしかしたら外国製品のラベルを張り替えて「国産品」としていることも考えなければならないと思う。
しかし中国は、2~3年後には日本を追い抜くほどの経済大国になりつつあるし、お金の使い方は日本との比じゃない。
だから、「先進国の市場なら、企業はだいたい3年に一度、自分たちのブランド・イメージ刷新を図る。しかし中国では、半年に一度は何か新しいことをしなくては」というのもわかる。