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航空サーチャージ4月から8割下げへ(学校で教えてくれない経済学)

2009-02-10 20:10:55 | 経済学
「サーチャージ8割値下げ」、4月から(日航)、全日空も検討という見出しが、今朝の読売新聞経済欄で目にはい入った。欧米線は現行の片道2万2,000円が3,500円(84%下げ)に、ハワイ線は1万4,500円から2,000円(86%引き)に、それぞれ値下げされる。4月改定の基準となる、昨年11月~今年1月分の航空燃料の平均が、1バレル=約116ドルから約65ドルへ下がったためと出ていた。

NY原油(WTI)先物市場は、2月10日、前日比バレル61セント値下がりし39.56ドルで取引された。今朝のWSJ紙は一時バレル42.43ドルまで買われたが、バレル40ドルが心理的な下限線となっている。そのためバレル40ドルを超えて一気に上を目指す勢いは、米国の原油在庫状況や世界的な景気後退といった環境下では難しいという見方がマーケットの主流を占めているとWSJ紙は解説していた。

原油相場の上値を抑えている要因として、世界同時不況が開発途上国の原油消費減速が指摘できる。今朝のWSJ紙は、アジア経済の減速にラテンアメリカと東ヨーロッパ経済の減速が加わってきたと指摘している。アジアでは台湾の1月の輸出が昨年比44%減った。12月のブラジルの鉱工業生産が前年比12.4% 減った。

開発途上国の株価下落と通貨安が需要不振に追い打ちをかけた。対ドルで、韓国ウオンは年初来8%値下がりした。ロシアルーブルとハンガリー・フォリントはそれぞれ14%下げた。メキシコペソは史上最安値を更新した。株価では中国、ブラジルは年初めから10%値上がりした。インドは小幅下げだが、ロシアの株価は10%10%下げた。昨年来、開発途上国経済が、欧米景気の後退のクッションの働きをしていた。今年はそれが消えた。

日本は不思議な国である。自国通貨の価値が上がる「円高」を悲しむ。自国通貨の値打ちが下がる「円安」を喜ぶ。隣国の韓国がウオン安でどれほど悲惨な目に遭っているか。ルーブル暴落でロシアが民間債務繰り延べを要請したと今朝の日経新聞に出ていた。

なぜ円が高くなるか。先で値上がりするとマーケットが見ているからである。餌がもらえると思うから水鳥が日本円に集まる。円高になったお陰で海外から安くものが買える。庶民の購買力が増える。内需だけでは日本は生きられない。安く買えるようになった原材料を武器に、より付加価値をつけて海外へ輸出出来る。たゆみなく技術を磨き、日本が世界一の製品を作り続けられる限り日本は生存できる。

一方、NY外国為替市場で、2月9日、ユーロと英ポンドが買われ、1ユーロ=1.3095ドル、1英ポンド=1.4981ドルで取引された。ユーロも英ポンドも瀕死の白鳥である。英国は政策金利を1.0%まで下げた。EUも先週は利下げを見送ったが3月の次回会合では0.5% 下げて1.5%とするだろう。追加利下げ必至の通貨に対してドルが売られた。なぜか。WSJ紙は米国議会で明日にも8,270億ドルの金融法案が成立するからだと書いた。

ロシアはルーブル防衛のために政策金利を1.0%引き上げた。欧米各国は、景気対策を錦の御旗に青天井でペーパーマネーを印刷する。債券先安を予見して、長期金利が米欧でじり高傾向に変化してきた。長期金利は住宅ローン金利に連動している。今回の世界不況はそもそも借金を返済できないとわかっていた相手にお金を貸したことから始まった。住宅ローン金利高止まりの可能性を示唆している。

暗い話が多い中で、原油安、円高還元策として、日本の航空会社がサーチャージを下げるニュースは大いに歓迎すべき動きであろう。(了)

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