司馬遼太郎さんが昭和46年7月に書かれたエッセーに、「いまから10年ほど前に、日本は有史以来、弥生式以来の大変化が訪れたように思う。それは何かというと飢えからの解放である。そいう意味では日本は全く新しい時代に突入した。」という文章をたまたま見つけた。
「飢餓との闘いがあったからこそ、人間は生き続けてきた。この条件がなくなった今、生きることへの執着はかなり希薄になっていくだろう。」と書いておられる。100年一度の大不況だと、さもわかったようなことを口にする政治家や経営者が実に多い。子供ごころにも戦後しばらくの間のひもじい思いが忘れられない。ひもじい思いを経験したことがない人は信頼できない。
先日元大手航空会社の副操縦士の方から親しく話を聞く機会があった。NYハドソン川に見事不時着を成功させたパイロットがいた。元パイロットの話ではいろいろな好条件が整っていたであろうが、あの程度の操縦は普通のパイロットなら常々訓練しているから可能であろうと話していた。
それぞれの世界で、多くの人の命を預かっている人が、自分が「操縦かん」を握っている感覚が、政治家にも経営者にも極めて乏しい。特に目立つのは咄嗟の判断が出来ない。臨機応変の対応が出来ない結果起こる事故や出来事が頻発している。業績悪化を為替のせいにする経営者は好例である。
最近の為替市場で特徴的な動きとして、ヨーロッパ経済の先行きに対する不安感が台頭していることが指摘できる。2月17日のNY外国為替市場で、ユーロが売られ、一時、1ユーロ=1.2536ドルで取引された。大手の格付け会社が東ヨーロッパの9銀行の格下げを発表したことが影響した。
今朝のWSJ紙によれば、東ヨーロッパの銀行に融資している豪州の銀行が破たんに追い込まれるとの思惑から豪ドルが売られ、NZドルも連れて安くなった。ユーロ安の背景には、ECBが現在2.0%の政策金利を0.5%まで引き下げざるをえないとの観測が底流を流れているようだ。
WSJ紙は、ポーランド通貨ズロチが昨年8月時の1ユーロ=3.20ズロチから現在1ユーロ=4.75ズロチ台まで急落していると伝えている。ポーランド通貨急落からチエコ、ルーマニアへの波及は必至であると解説していた。このあたりの動きは日本の新聞には全く顔を見せていない。
円は対ドルでは1ドル=91円台で売られているが、前日の日本のGDP統計や財務相辞任、麻生内閣に対する不安感が台頭したことも影響したようだ。ただ、ユーロや英ポンドが引き続き売られいていることから、ユーロ売り、英ポンド売りが加速すればドル売りに波及すると見られている。
ドルの反面教師であるNY金先物相場がオンス25ドル上げ、967ドルで取引された。ドルの先安を予見して先回りの資金が金市場へ流れている。銀相場もオンス14ドルまで上げてきた。一方、NY原油(WTI)先物は世界的な需要減を見越してこの日も売られバレル34.93ドルで取引された。
今朝のNHK・BS「おはよう世界」でオバマ大統領が、わざわざ太陽光発電設備を設けたデンバー自然史博物館で、7,870億ドル(約70兆円)規模の米景気対策法案に署名する光景を流していた。同法案はこの日を境に法律になるが、期待感が先行して大方の評価は必ずしも良くない。
NY株式市場は、オバマ演説の途中、前日比170ドル安近辺まで値を戻した。ところが金融株が安値を先導して、前日比297ドル安、7,552ドルで取引を終了した。GM.クライスラーの再建計画提出日の本日2月17日まで、労働組合や債権者との調整がうまく進んでいないことも嫌気された。
クリントン米国務長官の精力的な動きを見ていると日本のご機嫌取りに努力している姿がありありだ。お金のないアメリカ。米景気刺激策は日本と中国頼みである。遅ればせながら酔っぱらいの大臣の首は切った。麻生総理が操縦かんを握る日本号はダッチロールで、全く安心できない。(了)
「飢餓との闘いがあったからこそ、人間は生き続けてきた。この条件がなくなった今、生きることへの執着はかなり希薄になっていくだろう。」と書いておられる。100年一度の大不況だと、さもわかったようなことを口にする政治家や経営者が実に多い。子供ごころにも戦後しばらくの間のひもじい思いが忘れられない。ひもじい思いを経験したことがない人は信頼できない。
先日元大手航空会社の副操縦士の方から親しく話を聞く機会があった。NYハドソン川に見事不時着を成功させたパイロットがいた。元パイロットの話ではいろいろな好条件が整っていたであろうが、あの程度の操縦は普通のパイロットなら常々訓練しているから可能であろうと話していた。
それぞれの世界で、多くの人の命を預かっている人が、自分が「操縦かん」を握っている感覚が、政治家にも経営者にも極めて乏しい。特に目立つのは咄嗟の判断が出来ない。臨機応変の対応が出来ない結果起こる事故や出来事が頻発している。業績悪化を為替のせいにする経営者は好例である。
最近の為替市場で特徴的な動きとして、ヨーロッパ経済の先行きに対する不安感が台頭していることが指摘できる。2月17日のNY外国為替市場で、ユーロが売られ、一時、1ユーロ=1.2536ドルで取引された。大手の格付け会社が東ヨーロッパの9銀行の格下げを発表したことが影響した。
今朝のWSJ紙によれば、東ヨーロッパの銀行に融資している豪州の銀行が破たんに追い込まれるとの思惑から豪ドルが売られ、NZドルも連れて安くなった。ユーロ安の背景には、ECBが現在2.0%の政策金利を0.5%まで引き下げざるをえないとの観測が底流を流れているようだ。
WSJ紙は、ポーランド通貨ズロチが昨年8月時の1ユーロ=3.20ズロチから現在1ユーロ=4.75ズロチ台まで急落していると伝えている。ポーランド通貨急落からチエコ、ルーマニアへの波及は必至であると解説していた。このあたりの動きは日本の新聞には全く顔を見せていない。
円は対ドルでは1ドル=91円台で売られているが、前日の日本のGDP統計や財務相辞任、麻生内閣に対する不安感が台頭したことも影響したようだ。ただ、ユーロや英ポンドが引き続き売られいていることから、ユーロ売り、英ポンド売りが加速すればドル売りに波及すると見られている。
ドルの反面教師であるNY金先物相場がオンス25ドル上げ、967ドルで取引された。ドルの先安を予見して先回りの資金が金市場へ流れている。銀相場もオンス14ドルまで上げてきた。一方、NY原油(WTI)先物は世界的な需要減を見越してこの日も売られバレル34.93ドルで取引された。
今朝のNHK・BS「おはよう世界」でオバマ大統領が、わざわざ太陽光発電設備を設けたデンバー自然史博物館で、7,870億ドル(約70兆円)規模の米景気対策法案に署名する光景を流していた。同法案はこの日を境に法律になるが、期待感が先行して大方の評価は必ずしも良くない。
NY株式市場は、オバマ演説の途中、前日比170ドル安近辺まで値を戻した。ところが金融株が安値を先導して、前日比297ドル安、7,552ドルで取引を終了した。GM.クライスラーの再建計画提出日の本日2月17日まで、労働組合や債権者との調整がうまく進んでいないことも嫌気された。
クリントン米国務長官の精力的な動きを見ていると日本のご機嫌取りに努力している姿がありありだ。お金のないアメリカ。米景気刺激策は日本と中国頼みである。遅ればせながら酔っぱらいの大臣の首は切った。麻生総理が操縦かんを握る日本号はダッチロールで、全く安心できない。(了)