ニューズウイーク日本版最新号で「石油国家の凋落」と題して、ロシア、イラン、ヴェネズエラが、原油相場がバレル147ドルの最高値から40ドル割れまで値下がりした結果、政権基盤まで揺さぶられている。原油相場が高騰を続けていた時のプーチンは王様のようだったと書いている。
ロシアについては、「モノタウン」という言葉を使って、ひとつの産業に依存している町、その一例として、ウラル山脈南部の工業都市マグ二トゴルクス製鉄所の惨状をレポートしている。
「職を失った人間が急増。ロシアの社会不安は爆発寸前だ。抗議活動を抑え込む警察力はない」とロシア下院の安全保障委員会のゲンナジー・グドコフ委員長のコメントを紹介している。同誌は「ロシア政府上層部はいま恐怖にかられているはずだ」と記事を結んでいる。
日本では原油の話は原油どまりである。為替の話は為替の世界。金利は銀行屋さんの考える仕事だと言わんばかりだ。原油の値段が1/3になったことで様々な軋轢が生まれているところまで目配りしない。原油相場暴落で、国の政権基盤まで失われかねないことをもっと認識すべきであろう。
日本では政治と経済が一体で動いているとの認識が極めて希薄である。テレビの国会中継では見るに堪えない状況が延々と続いている。日本はアメリカの同盟国だからというだけでアフガ二スタンに派兵を余儀なくされるかもしれない。
ニューズウイーク誌は、「1万7000人を待つアリ地獄」と題して、アフガニスタン情勢に深入りすると取り返しがつかなくなると警告している。マレン統合参謀本部議長は「アフガニスタンの市民の犠牲者が1人出るたびにアフガニスタン市民の信頼を得るために数カ月あるいは数年後退する」とワシントンポスト紙の2月15日の記事を紹介している。政治家は是非読んで欲しい。
円相場が1ドル=98円台へ急落している。日本の昨年10~12月期のGDPが年率12.7%と発表されたことで円売りに弾みがかかった。1月の貿易赤字の9500億円も響いた。中川前財務相が世界注目のG7後の記者会見で醜態を演じた。麻生内閣の支持率が20%を切った。日本政治の操縦かんを握る人間がいない状態では、そういう国の通貨は買えないのであろう。
それなら米ドルが買われる環境にあるのかというとそうではない。1月21日締めの米新規失業保険申請件数は66万7000件とここ26年で最大の増加である。1月の耐久財受注高は5.2%減少した。1月の米新築住宅販売高は10.2%減少した。
NYダウは2月26日、前日比88ドル値下がりして7,182ドルで取引を終了した。この日はオバマのヘルスケア政策を嫌気してファイザー、メルク株が値下がりした。薬品株だけではない。キャタピラー、クラフトフーズ、エクソン株も売られた。投資家は米国経済の早期の回復を信頼していない。日本では株の話をすると嫌がる人が多いが、何事も毛嫌いせず大いに参考にすればいいのだ。
原油(WTI)相場はガソリン在庫減少を材料にバレル45ドルまで値上がりした。プーチンさんが喜びそうな話であるが、石油専門家は、石油相場が再び32ドルの崖っぷちまで値を下げる可能性を十分残していると指摘していると今朝のWSJ紙は紹介している。
今朝のWSJ紙には珍しく世界最大の化学メーカーBASFが前期赤字決算を出したと紹介していた。BASFジェルゲン・ハンブレヒトCEOは「化学業界は需要不振から業態は悪化を続ける。在庫は高水準にある。配当は維持する。」と語った。ドイツ化学協会VCIは2009年の生産見通しを当初の2.5%減を5~6%減へ下方修正した。自動車、建設需要の落ち込みが大きいと指摘した。
日本の化学業界は一部のごく限られたメーカーを除き企業存続の危機に見舞われている。にも関わらず企業家は様子見を続けていると専門家は指摘している。余計なおせっかいだと叱られそうだが、経営トップが、取り巻きからの耳触りのいい話だけに乗せられていると命とりになるであろう。
世界金融不安解消には時間がかかりそうだ。日本がアフガニスタンに深入りするようなことになると人命にかかわることだけに厄介なことになるだろう。窓の外を眺めると、ここ神戸の地も、季節外れの陽気で、桜の花がいまにも開きそうだ。自然界には、春はそこまで来ている。しかし、経済の世界には、春はまだ来ていないようだ。(了)
ロシアについては、「モノタウン」という言葉を使って、ひとつの産業に依存している町、その一例として、ウラル山脈南部の工業都市マグ二トゴルクス製鉄所の惨状をレポートしている。
「職を失った人間が急増。ロシアの社会不安は爆発寸前だ。抗議活動を抑え込む警察力はない」とロシア下院の安全保障委員会のゲンナジー・グドコフ委員長のコメントを紹介している。同誌は「ロシア政府上層部はいま恐怖にかられているはずだ」と記事を結んでいる。
日本では原油の話は原油どまりである。為替の話は為替の世界。金利は銀行屋さんの考える仕事だと言わんばかりだ。原油の値段が1/3になったことで様々な軋轢が生まれているところまで目配りしない。原油相場暴落で、国の政権基盤まで失われかねないことをもっと認識すべきであろう。
日本では政治と経済が一体で動いているとの認識が極めて希薄である。テレビの国会中継では見るに堪えない状況が延々と続いている。日本はアメリカの同盟国だからというだけでアフガ二スタンに派兵を余儀なくされるかもしれない。
ニューズウイーク誌は、「1万7000人を待つアリ地獄」と題して、アフガニスタン情勢に深入りすると取り返しがつかなくなると警告している。マレン統合参謀本部議長は「アフガニスタンの市民の犠牲者が1人出るたびにアフガニスタン市民の信頼を得るために数カ月あるいは数年後退する」とワシントンポスト紙の2月15日の記事を紹介している。政治家は是非読んで欲しい。
円相場が1ドル=98円台へ急落している。日本の昨年10~12月期のGDPが年率12.7%と発表されたことで円売りに弾みがかかった。1月の貿易赤字の9500億円も響いた。中川前財務相が世界注目のG7後の記者会見で醜態を演じた。麻生内閣の支持率が20%を切った。日本政治の操縦かんを握る人間がいない状態では、そういう国の通貨は買えないのであろう。
それなら米ドルが買われる環境にあるのかというとそうではない。1月21日締めの米新規失業保険申請件数は66万7000件とここ26年で最大の増加である。1月の耐久財受注高は5.2%減少した。1月の米新築住宅販売高は10.2%減少した。
NYダウは2月26日、前日比88ドル値下がりして7,182ドルで取引を終了した。この日はオバマのヘルスケア政策を嫌気してファイザー、メルク株が値下がりした。薬品株だけではない。キャタピラー、クラフトフーズ、エクソン株も売られた。投資家は米国経済の早期の回復を信頼していない。日本では株の話をすると嫌がる人が多いが、何事も毛嫌いせず大いに参考にすればいいのだ。
原油(WTI)相場はガソリン在庫減少を材料にバレル45ドルまで値上がりした。プーチンさんが喜びそうな話であるが、石油専門家は、石油相場が再び32ドルの崖っぷちまで値を下げる可能性を十分残していると指摘していると今朝のWSJ紙は紹介している。
今朝のWSJ紙には珍しく世界最大の化学メーカーBASFが前期赤字決算を出したと紹介していた。BASFジェルゲン・ハンブレヒトCEOは「化学業界は需要不振から業態は悪化を続ける。在庫は高水準にある。配当は維持する。」と語った。ドイツ化学協会VCIは2009年の生産見通しを当初の2.5%減を5~6%減へ下方修正した。自動車、建設需要の落ち込みが大きいと指摘した。
日本の化学業界は一部のごく限られたメーカーを除き企業存続の危機に見舞われている。にも関わらず企業家は様子見を続けていると専門家は指摘している。余計なおせっかいだと叱られそうだが、経営トップが、取り巻きからの耳触りのいい話だけに乗せられていると命とりになるであろう。
世界金融不安解消には時間がかかりそうだ。日本がアフガニスタンに深入りするようなことになると人命にかかわることだけに厄介なことになるだろう。窓の外を眺めると、ここ神戸の地も、季節外れの陽気で、桜の花がいまにも開きそうだ。自然界には、春はそこまで来ている。しかし、経済の世界には、春はまだ来ていないようだ。(了)