阪神なんば線車内風景
江嵜企画代表・Ken
南海本線沿線『住之江』に住む今年7月、100歳になった義理の母親慰問に訪れ
た帰路、お馴染みの阪神なんば線で神戸三宮行き快速急行に難波駅から乗った。
座った座席の前に一生懸命、ペンを走らせている女学生の姿に絵心を大いに
刺激されスケッチを始めた。
いつものように学生の右、左と対象を広げていく。尼崎駅で後ろ4両が切り離され
る。姫路行き特急が同じホームの反対車線に入ってくる。そこで少しでも時間を稼ぎ
たい客が一斉に降りる。客の入れ替わりが起こる。
先の少女と座席左端のスマホに夢中の青年は残った。突然、大きなおしりが目線を
遮った。これも絵になると思いスケッチを再開した。武庫川、甲子園、今津、西宮、
芦屋と快速急行は停まっていく。快速急行は御影に止まらない。魚崎で降りなければ
ならないと頭では分かっていた。
ところが、一端スケッチを始めると頭の中は空っぽになる。吊革を入れたり、窓際
の客を描きこんでいる間に、電車は魚崎を出た。やむなく三宮から折り返して御影で
降りて帰宅した。居眠りして三宮へ行くことも時々ある。お粗末の極みである。
(了)