日高芳樹氏大いに語るat大阪国際交流センター
江嵜企画代表・Ken
日高芳樹氏講演会が1月30日(土)午後2時半から大阪国際交流センター特別ホールで開かれ、久しぶりで家族同伴で聞くことができ幸いだった。帰路、上本町にあるさる喫茶店でしばし反芻した。2時半に始まり質問入れて4時15分、予定時間ぴたりに終わった。メモはできるだけとった。しかし、余りにもいろいろな話が出たので、A4一枚に書ききれない。
いつものように会場の様子をスケッチした。150人近い熱心な日高ファンで会場はほぼ満席だった。ほとんどが男性、しかも若者の姿は見かけなかった。『私も80歳になりました』という言葉で講演は始まった。人間、必ず一度は死ななければならない。これだけは言い残しておきたいという気持ちを、この日の日高さんの最初の一言に率直に感じた。
いきなり「今、アメリカはバブルなんです。リーマンショックの後、アメリカはお金をジャブ、ジャブに増やした。株価がどんどん上がった。お金持ちがますますお金持ちになった。そのお金持ちが、この先どうしたらいいか心配しています。」「その一方で、アメリカの大多数の人の給料がここ数年まったく増えていない。トランプとかいう人が共和党の大統領候補としてスポットライトを浴びていること自体が、それを象徴している出来事です」と話を続けた。
「原油の値段が30ドルを割りました。これは高くなりすぎた反動です。しかし、この先需要が増える環境にありません。値段は元に戻りません。中国経済が減速しています。これからも減速は続きます。中国は世界のルールと違う国です。これからの中国は大変です。」と明快だった。話は沖縄の米軍基地に飛んだ。沖縄駐留の米軍は昔7万いた。いまほとんどいません。アメリカは沖縄に関心がありません。誰が大統領になろうと関係ありません。アメリカは沖縄から早晩手を引いていくでしょう。仮にですが、トランプさんのような人が米大統領になればなおさらです」と話した。
「日本は相変わらずアメリカに期待しています。しかし、アメリカにしてみれば、尖閣は、日本と中国二人でやってくれの立場です。尖閣を守って喜ぶのは日本とせいぜい韓国でしょう。その韓国が今アメリカとうまくいっていません。最近の韓国はなんでもかんでもノーです。いまアメリカは韓国にうんざりしています。」「南シナ海は尖閣と違います。ベトナム、フリピンその他の複数の国が関連しているからです。マラッカ海峡を通過してインド洋に抜ける。アメリカにとって無視できません。だから守ります。」と続けた。
話はロシアのプーチンに飛ぶ。プーチン大統領は性格異常者だという大胆発言まで飛び出した。「プーチン・メルケルで、ロシアを入れた大ロシア・ヨーロッパ圏建設を夢見ています。プーチンはKGBの人間として20年近くロンドンで仕事をした。その時のプーチンの上司の下働きをしていたのがメルケルなんです。プーチンはアメリカには目はないのです。」のくだりは新鮮で面白かった。プーチンの話では、自分は直接会ったことはないが、前の米大統領のブッシュのお父さんの方のブッシュさんにプーチンの話を聞いたことがあるが『眼だけがガラス玉のようにキラキラ光っていました。KGBの眼です』と言っていた」と付け加えた。
講演のあと5人が質問した。米FOMCメンバーについて質問が出た。米金利見通しを聞いた人もいた。誰が大統領になるかと聞いた人がいたが、日高さんは言葉を濁した。日高さんは「共和党は7月17日、民主党は25日にそれぞれ党大会がある。1回目は代議員があらかじめ決められた人に投票する。今年は1回目の投票では決まらないでしょう。決戦投票になります。2回目は自由に自分で投票できます。誰が選ばれるか本当にわかりません。」と答えた。
一人東京から来ましたと前置きした、この日の聴衆の中では若者に属する男性が「昔はキッシンジャーというような人物がいた。今、一人挙げるとしたら誰ですか?」と聞いた。「へえーっ、東京から新幹線で大阪まで来られたんですか。ありがとうございます」と受けた後、日高さんは「おりません。キッシンジャーさんは、友達ですから悪いことは言えませんが、強いアメリカがあったから彼は仕事が出来たのです。当時のアメリカと今のアメリカは違います。」という言葉が強く印象に残った。(了)