宝塚歌劇「るろうに剣心」会場風景(スケッチ&コメント)
江嵜企画代表・Ken
2月11日、祝祭日の午後3時から休憩はさんで午後6時まで、緋村剣心を演じる早霧せいな「るろうの剣心」を堪能した。2時半開場である。スケッチの都合があり入口へ急いだ。ところがいつになく長蛇の列ができていた。いつものように目の前の客人から描き始める。ほとんどがご婦人であるが、子供さんの姿も多く目に付いた。文字どうり膨れ上がらんばかりの満席だった。
恥ずかしながら、あとでわかったことであるが、和月伸宏氏原作「るろうに剣心」は、1994年4月に、週間少年ジャンプで連作開始後、シリーズ売り上げ累計5,900万部を超える大ヒットコミック、アニメや実写映画でも次々大ヒットした。前売り券は完売、この日はある大手企業スポンサーのツアーが二本入っていたそうだ。帰りに出口で、江崎グリコのアーモンドチヨコ12個入りのお土産もついた。
幕が開いた。いきなり森の中の派手な立ちまわりシーンで観客のこころをわしづかみした。この作品の主人公、剣心は、幕末に伝説の人として恐れられた剣豪。明治以後は『不殺』を誓った。時代は江戸から明治ご一新へ一変した。剣心はひたすら前向き。過去をまったく引きずらない。一方、オリジナルキャラクターとして新選組隊士、加納惣三郎は過去を引きずり、煮え切らない。二入の対照が、セリフ回しにもよく出ていた。
二人の人物の対照もそうだが、同じ人間、剣心に宿る厳しさと可笑しさの対照も随所に演じ分けられており、面白かった。話題の演出家、小池修一郎の腕の冴えなのかもしれない。観客が手拍子で、歌い踊る役者と一体になるところも多く、実に心地よかった。加齢とともに睡魔に襲われる事がままある。この日はなかった。前売り完売の爆発的人気の謎が解けた。(了)