欧州の政治不安の中、対応策としてECB金融緩和継続決定、NYダウ65ドル高、史上最高値更新

（学校で教えてくれない経済学）


「中国政府は人民元の流出阻止に躍起だが一方、中国国民は人民元を売り急いでいる」と8日付けWSJ紙電子版でInglingWei記者は書いた。同記事によれば「専業主婦のシェン・ジアさん（36）の新年の抱負は2017年になったらすぐに出来るだけ多くの人民元を米ドルに交換することだと話した。シェンさんは他の中国国民同様年間5万ドル（約570万円）相当の人民元を外貨に交換できる。元相場が下落したことで数ヶ月前に今年分の枠を使い切ってしまった。一方、中国政府は流失を食い止めようとしているが、個人の年間外貨両替限度額が再び見直される可能性が出てきている」と書いた。8日付けのWSJ紙電子版でNathanielTaplin記者は「7日、中国の11月末の外貨準備高が前月末比690億6,000万ドル減少、3兆0520億ドル（約349兆円）になった。」と書いた。「中国の外貨準備高はピークの2014年6月末、3兆9,900億ドルから減少、今年1月3兆2,309億ドルへ減り世界にショックを与えたが、今回1月以来の大幅流失で3兆ドル割れが目前の窮地」と書いた。12月8日のNY市場で人民元レートは1ドル＝6.12~13元と前日と変わらずだった。

9日付けのブルームバーグ電子版でJeffBlack記者は「ドラギ総裁は8日のECB理事会後の記者会見で17年の政治リスクにQE(金融量的緩和)で対抗する意向を示した。毎月の債券購入額を現行の月800億ユーロから同600億ユーロに減額したが必要に応じて増やすこともありうることを示唆した。来年3月までの購入期限を年末まで延長した。必要とあればさらに延長することを示唆した。ECBのQE政策は2015年開始された。1兆1,400億ユーロでスタートしたバランスシートは現在4兆1,000億ドルに膨張している。これはユーロ圏のGDPのほぼ40％に達する」と書いた。8日のECBの減額（量的）と増額（期限延長）入り混じった発表も金融緩和持続としてNYダウは前日比65ドル高、19,614ドルで取引を終えた。NY外為市場では債券売り・利回り上昇を受けてドルが買い戻され、1ドル＝113.98円、1ユーロ＝120.98円で取引された。NY原油（WTI）は10日開催予定のOPEC減産合意確認期待からバレル50.84ドルへ反発、NY金はオンス1,172.40ドルへ反落した。

9日朝放送の英BBCは「英最高裁の最終判断は来年1月末まで出ないが、BREXIT(EU離脱)のイギリス国民の決定を覆すことはできない」と総括した。英BBCはMI6研究所は8日、イギリスでのテロの脅威は高まっていると発表したと伝えた。フランスF2はフランスの主要都市はパリをはじめ深刻な大汚染に見舞われている。車のナンバープレートによる交通規制を8日実施したが全く効果が出なかったと伝えた。ドイツZDFは「EU委員会はVWは車による排ガス規制違反に何も手を打っていないとして追加制裁を実施すると発表した」と伝えた。国営ロシアテレビは「西側有志連合によるイラクモスル奪還作戦で多くのイラク市民が犠牲になっているが公表されていない。西側はシリア、アレッポでの攻撃に対してロシアを一貫して非難している。ラブロフ外相とケリー国務長官と会談したが全く進展はなかった」と伝えた。インドDNTVは「深刻な紙幣不足にガソリンの支払いに電子マネーを使えば7.5％安くなる制度を8日から実施した。効果が期待される。」と伝えた。（了）