耳で側頭骨の歪みを診る
前回の臨床実践塾では、いろいろな筋肉や関節のテスト法と治療法の関係を説明しましたが、それはスカルセラピー(頭蓋四肢療法)での診断が、あるからです。
スカルセラピーでの診断
・人体は、頭部、体幹、四肢に分けられます
・臓腑の異変は体幹の歪みになります(胃の弱い人や肝臓が委縮した人等)
・体幹の歪みは徐々に四肢末端の歪みを起します
・四肢には東洋医学で云う「経絡」が流れています
・経絡の流れが悪くなると他の臓腑にも影響します
連鎖的に体調が悪くなる所以です
・経絡の流れが悪くなった指や趾の関節は硬くなっています
・関節が硬くなった指(趾)で不調な臓腑を診断
そして、スカルセラピーでの治療法は、
・最初に症状のある部位から治療します
・治療の前に、どのようにしたら症状が出るかを確認しておきます
これは非常に大切で、治療効果の指標になりますので必ず行います
・各部の治療法は「各論」に譲りますが、治療は非常にソフトな治療法で、
関節が矯正される角度に動かし、そのまま自然に矯正されるのを待ちます
・例えば、指の矯正なら、捻り難い方向に捻じったまま、患者の指が動くのを待ちます
・基本的には、症状を軽減できる部位から治療しますが、頭蓋と四肢は常に調整します
というようになっているからです。
つまり、顔の歪みでも、頭蓋骨の矯正だけをするわけではなく、むしろ、四肢の筋肉や関節を整えるのが先になるわけで、四肢の矯正をしないと、その場では顔の歪みが取れたように思えても、すぐにもとに戻ってしまうということです。
そのような理由で、前回の臨床実践塾では、四肢矯正を重視した矯正法を説明させて頂いたわけです。
則ち、四肢の矯正ができなければ、頭蓋の矯正も難しいと考えているわけで、臨床で経験する事は、四肢に歪みがある人は顔にも歪みが出ていますので、四肢の歪みを矯正できれば、顔の歪みもある程度矯正されています。
例えばこういう方がいました。
「歩いている時は何ともないが、立ち止まったり、座っていたりすると、仙腸関節が痛くてたまらない」と訴えてきました。
仰臥に寝かせて、頭の上から見ると、かなりの顔の歪みがありました。
そこで、股関節・仙腸関節を調整してから、前頭骨、側頭骨、頬骨、蝶形骨などを調整したら、仙腸関節の痛みはその場で楽になりました。
しかし、顔はまだ歪んだままです。
本来なら、顔の矯正のために、もっと顔の骨を矯正したいところでしたが、顔面骨の矯正は、やり過ぎるといろいろな症状が出ると言われるし、オステオパシーのテクニックは、ジワーッと効いてくるので、顔の矯正はそれで止めておきました。
そして次回来られた時には、顔が真っ直ぐになっていたのです。
勿論、仙腸関節の痛みも楽になっていましたが、完全ではありませんでしたので、そのときも股関節・仙腸関節の矯正をしましたので、次回に来られる時には、今までの経験からして、かなり良くなっていると思います。
お分かり頂けたでしょうか。
「顔の歪みの矯正」といえども、四肢体幹が関係しているということを。
そんなことで、次回の臨床実践塾では、顔面の矯正を行ないますが、「頭蓋矯正」だけでは難しいと思われる治療テクニックを解説したいと思います。