ものの値段は売りと買い、つまり需給関係で基本的に決まる。ところが相場には心理的な要素がいかに関わっているかということを、今朝の米国の株式市場は端的に教えてくれた。
9月7日、NYダウは、昨日の63ドル安に続いて、前日比74ドル値下がりした。米住宅需要悪化予測と次回FOMCでの再利上げという二大懸念がこの日の値下がりに影響した。
まず米住宅事情については、多くのエコノミストが、住宅需要不振は2007年まで続くと予測している。低金利を追い風に米住宅価格指数は2004年12%、2005年13%上がった。
ところが利上げへ風向きが変わった結果、2006年は3.5%増にとどまると政府関係調査機関Ofheoは予測している。一部のエコノミストは2007年は5%以上値下がりすると予測していると今朝のWSJ紙は紹介している。
米大手の住宅メーカーのKB HomeやBeazeru Homes USAが2007年の業績見通しを下方修正したことも2007年の米住宅需要の一段の悪化懸念を増幅させたようだ。
今ひとつの懸念はお決まりの再利上げである。従来利上げにはハト派のサンフランシスコ連銀総裁、Janet Yellennさんが、インフレ率はFEDが考える居心地のいいゾーンを越えていると発言したことであると今朝のWSJ紙は紹介している。
昨日のNYダウ引き下げの元凶は予想外に強かった米労働コストの増加データだったから今朝のYellen発言が余計インパクトを与えたとWSJ紙は指摘している。
米国景気は相次ぐ短期金利上昇下も前FRB議長のグリーンスパン氏に謎と言わしめた長期金利の低位安定を追い風に住宅需要堅調が牽引した。それはグリーンスパン前議長が唯一残した負の遺産と指摘するエコノミストも多いが、それが皮肉にも後任のバーナンキさんを苦しめている構図である。
インフレの元凶として槍玉に挙げていた原油相場がこのところ値下がりを続けている。この日もNY原油先物市場では一時バレル66ドル台まで値下がりした。本来なら原油値下がりを好材料に株価を下支えするところがそうならないのはなぜなのか。
原油相場の値下がりはあくまで一時的であり、原油相場がこの先も下がり続けると本気で考えている投資家はいないのかもしれない。冬場のシーズンインも近い。イラン核問題も収束にほど遠い。イスラエル・ヒズボラ紛争解決も中身はヘドロである。相場は物知りで臆病だ。水鳥と同じで本能的に安全指向だからここは株は売りと動くのであろう。(了)
江嵜企画代表・Ken
9月7日、NYダウは、昨日の63ドル安に続いて、前日比74ドル値下がりした。米住宅需要悪化予測と次回FOMCでの再利上げという二大懸念がこの日の値下がりに影響した。
まず米住宅事情については、多くのエコノミストが、住宅需要不振は2007年まで続くと予測している。低金利を追い風に米住宅価格指数は2004年12%、2005年13%上がった。
ところが利上げへ風向きが変わった結果、2006年は3.5%増にとどまると政府関係調査機関Ofheoは予測している。一部のエコノミストは2007年は5%以上値下がりすると予測していると今朝のWSJ紙は紹介している。
米大手の住宅メーカーのKB HomeやBeazeru Homes USAが2007年の業績見通しを下方修正したことも2007年の米住宅需要の一段の悪化懸念を増幅させたようだ。
今ひとつの懸念はお決まりの再利上げである。従来利上げにはハト派のサンフランシスコ連銀総裁、Janet Yellennさんが、インフレ率はFEDが考える居心地のいいゾーンを越えていると発言したことであると今朝のWSJ紙は紹介している。
昨日のNYダウ引き下げの元凶は予想外に強かった米労働コストの増加データだったから今朝のYellen発言が余計インパクトを与えたとWSJ紙は指摘している。
米国景気は相次ぐ短期金利上昇下も前FRB議長のグリーンスパン氏に謎と言わしめた長期金利の低位安定を追い風に住宅需要堅調が牽引した。それはグリーンスパン前議長が唯一残した負の遺産と指摘するエコノミストも多いが、それが皮肉にも後任のバーナンキさんを苦しめている構図である。
インフレの元凶として槍玉に挙げていた原油相場がこのところ値下がりを続けている。この日もNY原油先物市場では一時バレル66ドル台まで値下がりした。本来なら原油値下がりを好材料に株価を下支えするところがそうならないのはなぜなのか。
原油相場の値下がりはあくまで一時的であり、原油相場がこの先も下がり続けると本気で考えている投資家はいないのかもしれない。冬場のシーズンインも近い。イラン核問題も収束にほど遠い。イスラエル・ヒズボラ紛争解決も中身はヘドロである。相場は物知りで臆病だ。水鳥と同じで本能的に安全指向だからここは株は売りと動くのであろう。(了)
江嵜企画代表・Ken