ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

虹彩には、体質や、現在、過去、未来、のデータが秘められています。虹彩学による虹彩分析を針灸、巨針、食事療法の指針に!

作家 篠田節子さん:読売読書サロン

2006-09-30 06:47:02 | スケッチ
読売読書:芦屋サロンがゲストに直木賞作家の
篠田節子さんを迎えてJR芦屋駅から徒歩10分
芦屋川沿いにあるルナ・ホールで開かれたので
出かけた。

あらかじめ応募して当選した450名で会場は一杯、
いつもながらほとんどがご婦人であった。
聞き手の野間裕子さんの的を得た時に鋭い質問に
対して、さすが作家、篠田さんとの軽妙なやり取りを楽しんだ。

今回の催しのために書き下ろした掌編小説「生垣の我が家」
(9月12日読売朝刊掲載)を材料に参加者との質疑応答も
大変勉強になった。

篠田さんは東京学芸大を卒後14年間八王子市の市職員を
経験。直木賞受賞を期に退職、作家活動に入った。
役所での経験は作品に臨場感を与える上でプラスになったと
話していた。

「生垣のわが家」の主人公は認知症の母親を介護する離婚後
一人暮らしのサラリーマンの男である。

結婚のためだけの無難な相手を選んだ主人公は
トンとん拍子に出世する。しかし、仕事人間の悲しさ、妻とは離婚。
追い討ちをかけるように会社は倒産、解雇。悪いことは重なるもの。
その直後に母親に痴呆が襲った。

母親を家に連れ帰る道すがら、母親との鬼気迫るやり取り。
場面が一転する。このあたりは能や謡曲の世界からヒントをえた。
逢う瀬を4年重ねたときの昔の恋人との幻想の中での甘い世界も
能舞台ではしばしば使われるテクニックだそうだ。

再び、場面は一転して現実の世界へ。認知症の人間は恐ろしく元気だ。
すごいスピードで走る。とにかく元気な痴呆の母親。
どでん返しは、母親を連れ帰る途中に寄ったガレージの屋台で
焼き鳥を売っていた女がなんと昔の恋人という設定にした。

救いのない痴呆老人介護にも救いがあることを予見させて
作品は終わる。

質疑応答の中で日本の男の結婚観。会社人間の夫に耐えられず
離婚を選ぶ妻にもリアリティを出そうとしたようだ。
会社人間を襲う倒産と解雇も時代性を感じる。

参加者の最後の質問は篠田さんの死生観を問うた。
篠田さんは無神論者ですといい、将来変わるかもしれないが、
命は一回きりで魂の存在は認められないと答えた。

役所勤めのとき小説教室にかよった。そのときの先生の滝川喬さんは、
「読め、読め、読め、書け、書け、書け」と卒業する生徒に
色紙に書いたそうだ。

絵でも上達の秘策はない。ひたすらスケッチすることしか
道はないと日本画家の森田りえ子先生からも学んだ。
小説を書くことも絵を描くことも基本的なことはどの世界も
同じなんだと改めて感心した次第である。(了)



Kenさんのスケッチは、ブログ容量の関係で削除させて頂きましたが、11月1日に、「かんぽう」さんから『ユニークに乾杯』というタイトルで出版予定です。定価2.000円。
ISBN978-4-904021-03-3  C0071 1905E 
株式会社 かんぽうサービス ℡06-6443-2173
大阪市西区江戸堀1-2-14 肥後橋官報ビル6F(〒550-0002)



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする