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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

NO BORDER

2005-12-25 08:21:15 | エッセイ
ミスチルの歌『and I love you』をバックに、宇宙飛行士がインスタント麺の塊をほおばるカップヌードルのCM。CGか合成かと思ったら、本物の国際宇宙ステーションの中で撮影したものだそうだ。
最後に映る地球の姿、テレビで見ても本当にきれいだ。実際に目にしたら、やはりそれは人生観が変わるほどのものなのだろう。肉眼で見るには何億もの費用がかかるようだが、多くの人が見ることができたなら、きっと世の中平和になるに違いない。
天災はともかく、人間が起こす悲劇というのは、止めることができるのだから。

ところで、ゆうべのクリスマスイブ、皆さんはどう過ごされましたか? 
ケーキや鶏のモモ肉をおなか一杯食べたり、プレゼントを贈ったりできるのは、おそらく世界でも何割かの人間に限られているだろう。だからといって、ケーキやプレゼントをやめるわけではないのだが、それができない人たちがいるということは、頭の片隅には置いておきたい。

カップヌードルのCMは、宇宙編の他にも、花畑の中に廃物となった戦車がたたずんでいるものとか、貧しそうな国の子供たちの笑顔とかあって、そのコンセプトとしていいものを持っていると僕は思う。
他に、戦時下にある子供が銃を持っているのがあったが、どっかから「けしからん!」と文句が出て取りやめになったらしい。つまらんこと言う大人もいるもんだ…というような思いも、宇宙編を見たらどうでも良くなってくる。

そうそう、日清のホームページで、CMやそのメイキングを見ることができます。
http://cupnoodle.jp/

世界中の皆さま、良いお年を。

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「残しておきたいもの」

2005-12-18 08:33:31 | ショートショート
 何でも取っておきたい性格というのはあるもので、この話の主人公もそうである。

 むかしむかし、ある所に、何でも取っておきたい性格の、そう、Gさんとでもしておこうか、がいた。
 Gさんは、幸せな一生を送っていた。そして身の周りのありとあらゆる物を残しておきたいと思った。絵、写真、立体模型、全自動ミニチュア、と次々と作っては、その辺に飾っておくのが楽しみだった。

 Gさんは長生きの方であったが、それでも、寿命が近づきつつあった。そこでGさんは、最後に、自らが増殖、あるいは発展できるような模型をこしらえることにした。そうすれば、自分が死んでも、その模型は生き続けることができる。自分がいなくても、それはそれで、自ら残ることができる。

 その模型は今、「宇宙」と呼ばれている。そしてその中の、小さな小さな小さな小さな天体の一つが、地球である。


 Copyright(c) shinob_2005

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いのち

2005-12-11 08:59:34 | こころ
人は

高い所から落ちれば死ぬ
溺れれば死ぬ
大やけどすれば死ぬ
凍えたら死ぬ
飢えれば死ぬ
渇ききっても死ぬ
圧迫されれば死ぬ
刃物で刺されれば死ぬ
窒息すれば死ぬ
感電すれば死ぬ
病でも死ぬ
絶望しても死ぬ
ショックでも死ぬ
車に撥ねられたら死ぬ
毒が回れば死ぬ
首を吊れば死ぬ
大量に出血したら死ぬ
雷に打たれれば死ぬ
銃で撃たれれば死ぬ
爆破されれば死ぬ
老衰でも死ぬ

だから
だから、殺してはいけない
死んではならない。

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年をとるのも悪くない

2005-12-04 08:41:28 | エッセイ
 40も過ぎれば、内蔵やら何やらあちこちガタが来るものだと思っていたが、今のところ何てことない。少しお酒を控えるように、と言われているくらいで、悪い所といえば、昔野球で傷めた肩と、サッカーで傷めた膝くらいなものだ。
 腹もまだ出ていないし、あちらの方もまだまだ元気で、衰えはあまり感じない。(カミさんからは「元気だねー」と…、いや失礼)

 若い頃、年をとることにはだんだん情けなくなっていくイメージを持っていたが、そうでもない。少なくとも今は、中学の息子と対等にサッカーなんかやっている。
 いつの間にかこんな年になっていた、という気分。気持ちの上では20代だし、できることなら年はとりたくないとも思う一方、年をとるのも悪くはないな、と思う今日このごろ。
 世の中のことが分かってくるというのは、なかなかオツなものだ。いろんな知識だけでなく、〈人生の機微〉とでもいったものがわかるというのは、いいものだ。
 こればかりは、若い時にいくら勉強したってわかるものではない。おそらく長いこと生きてみないとわからないもの。科学技術の発達や世の中の移り変わりを見聞きするのももちろん楽しいことであるし、ツラいこと、悲しいことももちろんあるが、60代、80代になればもっと何かが〈わかる〉のではないかと、楽しみなのである。

 これを読んでいるのはおそらく僕より若い人だと思うが、40,50なんてハナ垂れ小僧、という言葉もあるくらいで、まだ衰えることなんてない。特に今はどういうわけか見た目が昔より若くなっているから、大丈夫大丈夫、安心して年取っていい。年金問題? 何とかなるって。

 あと、電車の中などで降りようとする時、若い頃なら「すみません」と言っていたのが、「ごめんよ」で済むというのはいい。まあどうでもいいことだが。

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