小さい頃から空想好きで、それが嵩じてショートショートなんか書いています。
あまり解説するものではないとは思いつつも、特に前回のは予備知識がないと難しいと思われるので、ちょっと解説しておきます。
『理科の実験』は、宇宙創成にまつわる作品である。宇宙創成というと、いかめしい神様か何かを想像するものだが、そうではなく、小学校低学年くらいの幼い子供がこの宇宙を創っちゃった、というもの。実験でたまたまうまく行ったのがこの宇宙、というわけ。
話の中に出てくる〈黒い粉〉というのは、宇宙の95%以上を占めているダークマターやダークエネルギーと呼ばれるものを示している。ダークマターが多すぎると宇宙は収縮してしまい、ダークエネルギーが多すぎると膨張してしまう。僕らのいるこの宇宙は光の速さで膨張しているらしいが、微妙なバランスの上に成り立っている、ということを言いたかっただけ。
〈黒い粉〉の多さ云々だけで、宇宙の形が決まるわけでもないだろう。ただ、単純化した方が分かりやすいというもの。
またこれは、宇宙は一つではない、という現代物理学上の理論も参考にしている。この宇宙の他にも、宇宙というのは無数に存在しているらしい。それを異次元と呼ぶのかどうかは知らないが。また「137時間」というのも、宇宙の年齢「137億年」を意識したもの。大きさにしろ時間にしろ、相対的なものだから、宇宙を創った子供にしてみれば、ほんの短い時間なのかもしれない。
そんな大きな子供たちが存在するはずがない、重すぎる、という意見あるかもしれない。しかしそれも相対的なものであって、それでちょうどいい世界、それが普通の物理法則である世界も、きっとあるに違いない。
それと、137「時間」にするかどうかはちょっと悩んだところだが、ひょっとしたら137「分」くらいに修正するかも。その場合はご容赦を。
もっと言うと、たとえば素粒子のような小さな世界にも、宇宙があるのかもしれない。そしてそこに、生命が存在している可能性も、ないとは言えない。まあこれは、空想好きにはたまらない考え方だが。
もう一つ。2005年に発表した『愛の語らい』は自分でも気に入っている作品なのだが、ここのFはもちろんFemale(女)を表わし、MはMale(男)を表わしている。ただしこの場合、プログラム上の男と女という設定。
特に恋愛初期の頃、女性って「私のこと好き?」って聞きたがることから思い付いたもの。また、その当時出始めた富士通のパソコン・FMシリーズにも引っ掛けてある。今じゃあまり聞かない〈OMエラー〉なんて、懐かしい言葉も出てくる。メモリーオーバーによるエラーのことだ。
今回はちょっと手前味噌になってしまいました。たまには。
〔写真は「日経サイエンス」より〕
P.S.
全然関係ないけど、きのう富士山に登ってきました。詳しくはまた次回にでも。