この夏は見たい映画がたくさんあって、その中の一つ『おおかみこどもの雨と雪』をカミさんと見に行った(夫婦50割引で一人1000円)。狼と人間との間に生まれた姉弟の話で、雪という女の子は活発であるのに、雨という男の子はとても大人しい。
このように「同じ兄弟でどうしてこうも違うのかねえ」というのはよく聞く話だし、いとこ同士で性格全く正反対ってのもよくあること。ただ、これはこれで、父親と母親のそれぞれから一部を受け継ぐという遺伝のことを知っていれば当たり前であることがわかる。分かりやすく言うと次のようになる。
赤や黄など暖色系の玉10個の入った箱と、青や紫などの寒色系の玉10個の入った箱があるとする。それぞれの箱から5個ずつ玉を取り出して並べれば、元になった玉の色は同じであるから似た面はあるにせよ、やるたびに違う並びが出来上がることになる。
ではどうしてこうなっているのか。
長い地球の歴史の中では寒くなったり暑くなったり、あるいはヒトが北に移動したり南に移動したりしたことだろう。寒さに強い人間だけ、暑さに強い人間だけだったとすれば、その逆の人間は弱ってしまい場合によっては死んでしまう。だから、いろんな種類の子孫が生まれるようになっている。(ちなみに僕は寒いの苦手)
何か災害が起きた場合、皆が皆同じ方向に逃げてその先が危険な場所だったとすれば、全滅することにもなりかねない。だから、別の方向に逃げたくなる人間も必要なのだ。
あるいは、特定のウイルスに対する抵抗性が皆一様であったとすれば、そのウイルスが蔓延すれば全員やられてしまう。(HIVに先天的に免疫を持つ人もいるらしい)
要するに〈生物の多様性〉ということなのだが、人間に限らず、動植物・微生物に至るまで、これだけ多様なのも、地球の生命として、生き残るため、存続するために必要なこと。神様の計らい、と言うべきか。
だから、うじうじしていようが、勉強/仕事ができなかろうが、美人じゃなかろうが、性格悪かろうが、罪を犯していようが、何の役にも立たないようであろうが、誰しも生きてていいし、生きなくてはならない。
他の人間、他の生物に対し、サッカーじゃないけれど“RESPECT”しないといけない、ということ。他人をいじめてはいけない理由、他人を殺めてはいけない理由というのもここにある。
仮に誰かを死に追いやったたとして、死んでしまった人の子孫が、あるいは大いに感化を受けた人が、たとえば全人類を救うような発明/発見をすることになっていたとすれば、それはそれで何て言うか、もの凄い損失であるに違いない。
ところで『おおかみこども』は細田守監督のいい作品だったのだが、やはり『サマーウォーズ』の方が断然良かった。さて次は『ダークナイト ライジング』でも。
〔写真は、懐かしい人には懐かしいおもちゃ「マーブルピュータ」〕