20YY年MM月DD日、突然地球上の空気が薄くなり始めた。いや、米国ほか各国の宇宙レーダーは上空に謎の物体を探知してはいたものの、それが一体何なのか、正体を付き止めようとしていた矢先のことであった。
ある者はシェルターに逃げ込み、ある者は潜水用のボンベに飛びつき、またある者はなぜか水を張ったたらいに顔を突っ込んだが、それら努力も空しく、やがて地球上の空気はすっかりなくなってしまい、次々と息絶えて行ったのであった。
かわいそうなのは人間だけではなく、呼吸をしている動物や植物も。もちろん虫や鳥たちそして飛行機は飛ぶことができなくなってしまった。動き回っているのは全自動の電気自動車や電車だけとなってしまったが、それらもいずれその動きを止めざるを得ないだろう。
…さて、かなた上空。
透明な宇宙船の中ではこんな会話が交わされていた。
「これですっかり“底”の方まで見ることができました。生物とおぼしき、四角い物や細長い物が動いているのが見えます」
「そうか、それは興味深い。どれどれ、降りて行って調べてみるか」
虹色に輝く目をぱちくりさせながら。
Copyright(c) shinob_2005
ある者はシェルターに逃げ込み、ある者は潜水用のボンベに飛びつき、またある者はなぜか水を張ったたらいに顔を突っ込んだが、それら努力も空しく、やがて地球上の空気はすっかりなくなってしまい、次々と息絶えて行ったのであった。
かわいそうなのは人間だけではなく、呼吸をしている動物や植物も。もちろん虫や鳥たちそして飛行機は飛ぶことができなくなってしまった。動き回っているのは全自動の電気自動車や電車だけとなってしまったが、それらもいずれその動きを止めざるを得ないだろう。
…さて、かなた上空。
透明な宇宙船の中ではこんな会話が交わされていた。
「これですっかり“底”の方まで見ることができました。生物とおぼしき、四角い物や細長い物が動いているのが見えます」
「そうか、それは興味深い。どれどれ、降りて行って調べてみるか」
虹色に輝く目をぱちくりさせながら。
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