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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

パ・リーグの勝利?!

2005-10-30 08:42:29 | 時事
「日本シリーズが短期決戦である以上、短期決戦に強いチームを我らがリーグの代表としたい」
「そうですね。リーグ戦で上位のチームであれば、ほぼ実力は充分でしょうし、その中から選べばいいでしょう」
「そうしましょう」
 …というような会話が、パ・リーグ首脳会議の中であったかどうかは知らない。

 日本シリーズで、ロッテが阪神に圧勝した。
 長いリーグ戦を勝ち抜いた者同士が対戦する日本シリーズであるが、パ・リーグはその前に、プレーオフ制度を敷いている。
 この制度、選手らが疲れるだけかと思ったら、そうでもない。試合勘、緊張感を持ち続けたままシリーズに入れるため、力が充分に出やすいようだ。しかも相手は、今年だと阪神というのが決まっているから、戦い方のイメージも持ちやすい。
 一方その阪神は、実戦から遠ざかっている上、相手が直前まで決まらないから、逆にイメージが持ちにくい。去年の中日は西武に、今年は阪神がロッテに敗れたのも、偶然ではないように思う。
 実力のパ、と言われているが、日本一の座をパに持ってくるために、うまいことやったと思う。まあ合理的であることは確かだ。もちろんロッテも頑張ったからだが。バレンタイン監督の下、選手がのびのびプレーしているのが印象的だった。ああいう明るい人が上だと、下はやりやすいだろう。
 実力を出し切れなかった阪神、そして2年連続でプレーオフで敗れたソフトバンクは気の毒である。ルールがそうなっている以上、やはりロッテがパの覇者ということになる。プレーオフがなかったら、ロッテはロッテで、ソフトバンクはソフトバンクで戦い方は変わっていただろうから。
 そうすると、「強い」とは何か、「偉い」とは何か、という話になるのだが、また眠れなくなってしまうので、やめておく。
 その点、大リーグは均等にやっているから平等だ。おそらく、来年のプロ野球はまた制度が変わるに違いない。

 プロ野球はこの時期しか見ないし、ことはそう単純ではないのかもしれないが。

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アスベストだけでなく

2005-10-23 09:14:27 | エッセイ
 まだ2ヶ月以上残っているというのに、早くも「今年の言葉」なんてのが募集されている。何もない方がもちろんいいのだけれど、〆切りのあと、ものすごく大きな事件が起きたらどうするんだろう、といつも変な心配をしている。
 今年はアスベストによる健康被害が大きなニュースとなった。有害性は指摘されていたらしいが、何十年もして悪影響が出てくるというのは、まるで時限爆弾みたいだ。被害に遭われた方は気の毒である。
 それで思い出すのは、昔やった腹筋運動。今じゃ、膝を曲げないと腰を傷める、と言われているが、僕ら学校の頃、膝は伸ばしてやるものだった。
 それとウサギ跳び。『巨人の星』でもよく出てきたし、足腰を鍛えるのにいい、とピョンピョンやったものだが、膝に良くないことは今や常識。膝やら腰やら悪くしている中高年の人は、ひょっとしたらこれらが遠因となっているのかもしれない。
 少し話がそれたが、ほんの身近なものでも、いつか「有害」とされる日が来ることはあるだろう。ちょっぴり覚悟はしておいた方がいいかもしれない。
 余談だが、アスベストを発見したのは、かの平賀源内らしい。

 ところで前回、πの話をしました。わかっている人、あるいはすでに読み替えのプログラムを作った人、には言うまでもないことですが、紹介した手前、数字の並びを調べる方法を書いておきます。
 ネットからπの計算結果をWordにコピーし、スペースや改行を外した上で、「編集」の「検索」機能を使えば、調べることができます。僕もやってみましたが、「アイシテル」が出てくるのは小数点以下1万桁目以降になるようです。
 〈πの部屋!〉というHPの計算結果が、利用しやすいと思います。

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すべてはπの中に

2005-10-16 08:41:43 | 科学/考察
 このgooブログも30万件を超え、日本全体では300万件を突破したそうだ。一体どれだけの文章が、毎日毎日追加されていることだろう。
 ブログに限らず、本や新聞にすでに書かれた文章はもちろんのこと、これから書かれるであろう文章までも、ある場所にすべて記述されている、と言ったらビックリするだろうか。

 数学の世界ではよく知られたことなのかもしれないが、『図解雑学・パラドクス』(富永裕久著、ナツメ社)という本に載っていた話だ。それは、世界のすべての知識・文章は円周率π(パイ)の中に記述されている、というもの。ランダムな数字が無限に続くπを読み解けば、あらゆる事柄がわかるという。
 わかりやすく説明しよう。数字を五十音に置き換えてみる。例えば01を「ア」、11を「カ」、25を「ソ」というふうに読むとすると、πの中にある「0102223483」という配列は、「アイシテル」となる。
 そういう配列はないって? いやいや、無限に、そしてランダムに続くπならば、きっとあるはず。ちなみに、ランダムとは言っても、小数点以下762桁目からは「999999」と9が6つも続く配列が見られるのも面白いところ。
 上記のルールで行くと、3.14159265358979…の小数点以下1桁目からは「ケコヰモトレ゛」と読める。全然意味をなしていないが。整数部分の3から読み替えると「タナベザフブ」、人の名前のような。ただ、16は「ガ」、27は「ジ」と変換できるが、48は「ヌ゛」となってしまう。また、「パピプペポ」は66~70を当てるのがいいだろう。ついでに、01から順にABC…と、アルファベットに変換してみると、πの小数点以下は「NO…」となる。やめろってことか。
 πについては、ネットで検索すればいくらでも出てくるはずなので、その他、色や音階に変換するルールを決めて遊ぶこともできるだろう。DNAの配列を音符に置き換えて音楽にするというのを誰かがやっていたと思うが、πの数字の並びを例えばふた桁ずつ区切って、4で割り切れる数をアデニン、1余る数をグアニン、と読み替えれば、ヒトのDNA配列がどこかに出てくるかも。無限に続くπならば、それも可能なはず。
 あるいは、自分の名前や生年月日を探してみるのも面白いかもしれない。

 あらゆることがπの中に記述されている、まるで〈アカシック・レコード〉のように。しかしこれ考え始めると、夜も眠れなくなってしまうんだよね。

(ところで、この文章もπのどこかに記述されているのだろうか?)

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「ある失恋」

2005-10-09 08:22:26 | ショートショート
「また誘うね」と言ってその日は別れた。
 ずっと気になっていた子との初デート。奮発して、川沿いのしゃれたイタリアンレストランで食事をした。
 美人というわけではなかったが、しゃべり方がとても素敵な子だった。何て言うのか、上品で、僕の後ろの方なんだけど、その子の電話の応対が始まると、何か仕事をしていても、つい聞きほれてしまうのだった。
 夜少し遅い時間、職場で2人きりになったのを幸い、思い切って食事に誘ったら、すぐにOKしてもらった。は、いいが、次の週ということで、慌てて場所を調べることになったのを覚えている。
 当日は、仕事のことやら故郷のことやら趣味のことやら、パスタとワインを前に、たわいのない話をして、いい雰囲気で終われたような気がする。素敵な話し方を間近に見ることができて、幸せな気分だった。
 ところが次の日から、彼女は僕を避けるようになってしまった。普通なら「ゆうべはご馳走さまでした」とか何とか言ってくるものだがそれもなく、こちらと目も合わせなくなってしまった。
 理由は何だったのだろう。何か気に障ることでも言ってしまったのか、食べ方が意地汚かったのか、ひょっとして、そのまま帰ってしまったのが悪かったのか。それともただ単に、好みのタイプではなかったからか…いまだによくわからない。かといって問いただすような間柄でもなく、悶々とした日々が続いた。
 しかし「また誘うね」と約束した以上、もう一度誘わなくてはならなかった。そのままでは彼女がフラれたことになる。それに、2人になればまた笑顔を見せてくれかもしれない、という期待もあった。しばらくして、またも思い切って声をかけたところ、こちらを見もせずに「今忙しいから」とだけ言われた。
 …やがて、その子は結婚・退職、いわゆる寿退社してしまったのだが、「おめでとう」と言えたかどうか、記憶にない。あるいは、その相手とすで付き合っていたのかもしれない。

 ちょうどこの季節だったか、もう何十年も前のことを、ふと思い出した。今となっては、もうちょっと待っていれば事態は好転したかもしれないのに、とも思うが、若気の至りというのか、気が急いていたのだろう。
 もう二度と会うことはなかろう。でも、あの上品な話し方は、今も変わっていないだろうと思う。

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