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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

老子のことなど

2007-06-24 09:06:44 | エッセイ
 
 本屋をぶらぶらしていたら、『自由訳 老子』というのが目に留まった。パラパラとめくったらとても読みやすいので、買ってきて2,3日で読んでしまった。
 ちなみに、著者は、あの「千の風になって」の新井満さんである。

 老子…懐かしい名前だ。『論語』の孔子の方はよく聞くし本もたくさん出てるけれども、「巧言令色」とか「君子危うきに」とか、どちらかと言うと真面目な印象だ。それに対し老子の方は、「無為自然」とか「上善若水」とかいって、自由奔放な感じ。
 その昔、受験勉強で大変だった高校時代にハマったことがある。息詰まる毎日の中、自由なその考え方にあこがれたものだ。

 新井満さんも書いているように、サラリーマンなど現役時代なら孔子の考えの方が役に立つだろうが、年取って引退してからは老子の考えの方がしっくりくるようだ。一生を通じても、老子の〈いのち〉を大切にする考え方の方がいい、とも。
 ここんとこまた多忙なので、こういうのんびりした考え方ってのは、身にしみるというか、ありがたい。

 どちらも大昔の中国の考え方を代表するものだが、片や正統派、片や無頼派、といった感じで、その趣きはかなり異なっている。「細かいことはいいじゃない、のんびりやりましょうや」とでもいった、良く言えば〈おおらか〉、悪く言えば〈いい加減〉な考え方は、今の中国にも通底しているように思える。
 偽グリセリン事件でいったんニュースになったから次々とニュースになるけれど、中国人の〈おおらかさ〉というのは、何千年にもわたって染み付いているものだ。来年北京でオリンピックが開かれるってんでマナー教育とかやっているらしいが、日本人の緻密さと同じく、良きにつけ悪しきにつけ、国民性というのはそうそう変わるものではないだろうと思う。
 あるいは、中国でビジネスやる人は、老子の考え方も勉強しておいた方がいいのかも。

 人生を達観した、仙人みたいな大人(たいじん)というのは、中国あたりにはたくさんいて、こせこせした考えなど、微塵も持っていないに違いない。そういう昔からの人たちの考えをまとめたのが「老子」だ、という説もあるそうだ。
 いずれにせよ、そういうおじいちゃん(老人)に、なってみたいものだ。

(老子の言葉の訳は、ネットでもたくさん見つかります。「老子全81章」というのが、とりあえずオススメ。それと、加島祥造さんという人が、老子やタオについて、いろいろと本を出しています)
 
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くすりの話

2007-06-17 08:56:14 | エッセイ
 
 たまには専門の話を。

 もう気付いた人もいるかもしれないが、薬のパッケージの「製造元」というのが、最近は「製造販売元」に変わってきている。皆さんには直接関係はないので詳細はやめておくけれど、薬の製造販売制度が大きく変わったからで、その対応のため去年はものすごく忙しかった。(知り合いに薬品関係の仕事の人がいたら、聞いてみるといい)

 薬の世界というのは規制が多く、製薬だけに「制約」だらけ、というのはよく言う駄じゃれ。もちろん金融業界にしろ建築業界にしろ、規制はいろいろとあるのだろうと思う。
 他の業界に比べて給料が多少いいということも聞くが、よくわからない。ただ仕事は細かく、神経を使う。こんなもん本当に必要なのか、っていう業務も、結構ある。

 薬の話をすると、有効性と安全性の兼ね合い、というのが重要なところ。いくら副作用が強い場合でも、使わないと命にかかわるのであれば、服用した方がいいということになる。逆に、いくら効き目が良くても副作用がそれ以上に強いようであれば、ダメってことに。バランスの問題なのだ。
 そう言えば、元々副作用だった作用をメインの効き目にするってこともよくある。確かバイアグラはそのクチだった。
 それで思い出したが、怪しげなクスリというのも世の中たくさんあって、「やせチャイナ」なんていう痩せ薬や、「旦那さますごい!!」なんていう精力剤もあるそうだ(凄いネーミングだ)。ただ、体壊すだけだし違法薬品なので、皆さんはこういうのには手を出されませぬよう。

 抗生物質のペニシリンや鎮痛剤のモルヒネ、数々の漢方薬、その他たっくさんの薬は、自然から見つけられたものだ。自然は偉大だ、うまくできてるな、と思うと同時に、自然から得られる薬も、かなり出尽くしてきた感はある。これからは、ジャングルや洞窟の奥深くで、あるいは深海の底で見つかった物質から新しい薬が開発されるのでは、と言われている。
 リウマチやらアルツハイマーやら筋無力症やら、まだまだ治療法のない病気も多いことだが、あるいはそんな所から、いい治療薬が出てくるかもしれない。

 ついでながら、他の惑星の病気は、その惑星のどこかに治療薬があるに違いない。またひょっとしたら、リウマチなど難病の治療薬も、どこかの星にはあるのかも。

 こんなところで。(いつも以上にマジメになってしまいました)

 〔イラストは、慶應義塾大学病院薬剤部のHPより〕

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おじいちゃんの知恵袋

2007-06-10 08:53:54 | 実用
 
1.すり傷でお風呂
 スポーツか何かで転んですり傷を負い、お風呂に入ろうとしてシみることがある。そんな時は、タオル(乾いていても濡れてても可。ただし石鹸は付いていないこと)をその傷口に当てたまま湯船に入ると、それほどシみることはない。そうしてタオルをゆっくり外せば、不思議と痛みもない。
 風呂から出たら傷に絆創膏(傷テープ)を貼って、はがれるまで何日も放っておけばいい。自然とはがれる頃には、すっかり治っているはず。

2.軽いヤケドの時
 バーベキューや花火をやってて、軽いヤケドをしてしまうことがある。いつまでもヒリヒリして、楽しいキャンプも台無し。そんな時は、炭火かライターの火にそのヤケドした部分を近付けてみる。ちょっとピリピリして痛いかな、ってところで放すと、不思議とヒリヒリはなくなっている。理由はよくわからないけど。
 もちろん、大ヤケドの時はそんなこと厳禁。

3.靴に10円玉
 靴が何足もない場合、あるいは1日履いた靴がムれてるような場合、その中に10円玉(古くても可)を1つずつ入れておくと、翌朝にはほとんどにおいがなくなっている。「シュシュッとしとけばキレイなまんま」という銀イオン入り抗菌剤のCMがあるが、銅イオンでも同じことが言えるようだ。
 そしてこれ、ブーツなんかにもいいと思う。

4.歯の磨き方(口臭予防に)
 朝だけ磨く人、寝る前に磨く人、いろいろだろうが、たとえば朝、歯を磨いたなら、夕食の前にも歯磨き(ハミガキは付けなくていい)するといい。口の中がサッパリするはず。
 歯磨きの時にはついでに舌のコケ取りも。〈デンターシステマ〉のような細い毛の歯ブラシなら、舌も傷めないと思う。
 ところで僕らの子供の頃は、歯磨きは〈ローリング法〉といって歯茎から歯に向けて歯ブラシを動かすのが「正しい」とされていて、横に磨くのは「間違い」とされていた。今はどちらかというと横に動かすのが正解のようで、一生懸命ローリング法で歯磨きしてて歯を悪くしてしまった人は、一体どうしてくれるんだ!


 最後はガンコじじいみたいになってしまったが、まだおじいちゃんと呼ばれるような歳では、ない。
 

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誰かが答を知っている

2007-06-03 09:12:38 | こころ
 
 昔から、歴史というのが嫌いだった。年号を覚えるのも面倒だし、顔も知らない人たちが何をしようが、そんなことどうでもいいと思っていた。だいたい、思い付きやら感情やら打算で動いている歴史に、自然科学のような普遍的なものなどないと思っていた。

 年をとったというのか、最近、どうもそうでもないような気がしている。個々の動きは、何ていうのか〈デタラメ〉ではあっても、長い長い歴史というものを見たら、そこには普遍的なものがあるのではないか、と。
 もちろん脚色はあろうが、大河ドラマなんかを見ていると、「あいつには負けたくない」だの「こいつらを支配したい」だのいう人間の思惑っていうのは、時代が変わってもそう変わらないような気がする。当たり前と言えば当たり前なんだけど。

 有史以来、この地球上に何人の人間が生きたかは知らない(数百億人くらいか)。それこそ歴史に名を残した人はもちろん、生きた人すべてが、人間関係やら金銭問題やら、何かしらの問題を抱え、苦しみ、解決してきたに違いない。記録には残っていないにせよ、同じような問題は、誰かも抱えていたはず。現時点ではたった1人であっても、過去を遡れば、きっと誰かいるはず。

 だから、誰かに聞いてみよう、何か本でも調べてみよう。今なら、インターネットで世界中の情報を得ることもできる。情報が多すぎる、あるいは怪しげな情報も多い、という負の側面もあるが、Googleなど検索エンジンの進歩で、必要な情報の入手も簡単になってきてるし、英語のウェブページだって、BETA版ながら、日本語で読むこともできる。便利な世の中になったもんだ。

 誰か同じような人がきっといる、独りなんじゃない、と。そうすれば、自ら命を絶つ必要もなくなる。もちろん、落ち込むとそれどころではなくなるのもよく分かるのだが。
 あるいは、司馬遷鑑真など、自分よりもっとヒドい目に遭った人のこともわかるかも。
 あと、過去の自分と向き合うのもいいかも。それから、これはちょっと突拍子もないことなのだが、〈未来の自分からの声〉を聞くという手も。

 ところで、たまたまなのかもしれないけど、関ヶ原の戦いで徳川家康が勝たなかったら、太平洋戦争で日本が負けていなかったら、僕らはこの世に存在していないことになる(それとも、他の人間として生きていたか?)。

 …また話が小難しくなってしまいました。
 
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