思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

『朝鮮人暴動に対する理解』(東洋経済・社説) 1919年5月15日 石橋湛山

2014-04-22 | 社会思想


 『朝鮮人暴動に対する理解』(東洋経済・社説) 1919年5月15日 石橋湛山 

 「・・・ およそいかなる民族といえども、他民族の属国たることを愉快とする如き事実は古来ほとんどない。インド・エジプトの英国に対する反感 は年と共に高まり、アイルランドの独立運動は今日に至っていよいよ強烈さを加えてきたではないか。朝鮮人も一民族である。彼らは彼らの特殊なる言語をもっている。多年彼らの独立の歴史をもっている。哀心から日本の属国たるを喜ぶ朝鮮人はおそらく一人もなかろう。故に朝鮮人は結局その独立を回復するまで、我が統治に対して 反抗を継続するのは勿論、しかも朝鮮人の知識の発達、自覚の増進に比例して、その反抗はいよいよ強烈さを加えるに相違ない。これを個人の場合について考えれば、直ぐに分かることだ。おそらく何人といえども、自己意識のある限り、他人の保護管理の下に生活するのでは、その他の一切の要求が遺憾なく満たし得られても、決して満足はせぬ。何となれば、自己は自己によって支配せられぬ限り、真の意味において生活はないからである。自己なき所にはいかなる善美をも意味を 成さぬ。民族の生活もまた同様である。故に朝鮮人は日本の統治の下にいかなる善政に浴しても、決して満足すべきはずはない。故 に彼らは彼らの独立自治を得るまでは断じて反抗を止めるものではない。問題の根本はここに横たわる。」(岩波文庫・『石橋湛山評論 集』87-88ページ「鮮人」という記述は分かりにくいので「朝鮮人」にしました)
 

 この石橋湛山による社説は、朝鮮で の「反日デモ」に対して日本の警察が無差別に発砲して死者多数(正確な人数は分からぬほどの大量殺傷)を出した「三・一独立運動」への弾圧に対して、日本政府を批判したものです。

※石橋湛山は、戦後、第55代総理大臣となりますが、2カ月で病に倒れ辞職。その後が岸信介(対米戦争を進めた中心者の一人=東条内閣の 国務大臣で、安倍首相が敬愛するという彼の祖父)。

 いま、何よりも必要なのは、日本万歳!の愛国主義、「自国中心」の精神から抜け出ることです。石橋湛山のような優れた先人に学ぶことが大切です。原理は、自己ー「私」ー個人です。
  

武田康弘

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