思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

衝撃のバッハ体験ーコンスタンチン・リフシッツのパルティータ全曲演奏会(所沢ミューズ大ホールで)

2018-03-26 | 芸術

ロシアとその周辺の「東側」出身の演奏者のスケールの大きさと根源性には、目を見張るものがあり、その底知れぬパワーに圧倒されてしまいますが、

昨日はじめて聴いたウクライナのコンスタンチン・リフシッツのバッハには、わたしのバッハ観がひっくり返る衝撃を受けました。今までの演奏は、バッハがつくったたくさんの部屋に「私」という個性をもつ人間が住んでいなかったのだ!

それがどうだろう、抽象的なあるいは一般的な人間ではなく、豊かな感情をもったわたし、万華鏡のように変わる心模様をもつわたしという人間が生き生きと動き回る。ロマン豊かな人間、形式や儀式ではなく、内容で生きる人間が実在していた。

ニッポン的「事実学」とは全く無縁の、普遍的な意味論の世界が繰り広げられ、音は輝き飛びまわり、多彩な色で溢れ、ホールは虹色に包まれた。ああ、そうか、1番2番3番4番5番6番、全曲を聴くことではじめてバッハの世界は分かるのだな、覚醒した。つまみ食いでは広大なバッハの宇宙は分からない。

かの有名なグレン・グールドのバッハは、神経質で、一面に強く光をあてた演奏でしかなく、コンスタンチン・リフシッツの多面性、豊かさと大きさはもっていないと感じ、作曲家の清瀬保二さんが弟子の松橋桂子さんに「君、これはバッハではないよ(一度目のゴールドベルクを聞いて)」と言った意味が分かったように思えた。

バッハがこんなに面白く内容豊かで色模様に富み多面的な世界だったとは、う~~ん、たまらない。で、このとんでもないレベルのピアニスト=コンスタンチン・リフシッツの超がつく長時間演奏会のS席が2500円!これはどういうこと。この後、上野の文化会館でバッハの協奏曲の全曲演奏会(弾き振り)があり、残席がありそうなので、みなさまもぜひどうぞ。わたしも今から電話で購入します。こちらはS席7700円です。

 

なお、昨日の全曲演奏会は、その後、アンコール(バルトークの「ミクロコスモス」の第6巻の1と6で、これまた強烈な演奏)とサイン会まであり、ただ驚き。15時に始まった演奏会は、18時45分まで。その後19時よりのサイン会でした。

   

 


 武田康弘

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