みんな横になった。風に戸があふられて、雪が小屋へ舞い込んだ。誰も起きて戸を閉めに行く気はしなかった。寒いし懶い。
「俺はいい気持だ。」セミョーンがうとうとしながら言う、「こんな気楽なことはねえさ。」
「お前は極道者よ。悪魔だって攫っちゃ行かねえってよ。」
外からは、犬の吠えるような声が聞えて来た。
「ありゃ何だ。誰がいるんだ。」
「韃靼人が泣いてるのよ。」
「へえ……何て妙な奴だい。」
「今に慣れるってことよ。」セミョーンはそう言ったかと思うと、もう寝入っていた。
間もなく他の者も寝入った。戸は開けっぱなしだった。
…追放劇には起源がある