★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

春の夜長に

2013-02-26 20:21:39 | 文学


 現代の日本文明を呪咀して、江戸文明に憧憬し仏蘭西文明を駆歌する荷風氏。現実の醜悪を厭うて夢幻に遁れんとする未明氏。温雅淡白よりも豊艶爛熟を喜ぶ白秋氏。
 或る意味に於て、すべての人間はアイデアリストである。ドリーマーである。ロマンチケルである。アナクロニズムといい、エキゾーチシズムという語は色々な、複雑な意味を持っていると思う。

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 俳壇の現状は薄明りである。それが果して曙光であるか、或は夕暮であるかは未だ判明しない。
 俳句の理想は俳句の滅亡である。物の目的は物そのものの絶滅にあるということを、此場合に於て、殊に痛切に感ずる。

──種田山頭火「夜長ノート」より