併し別に西洋人のゐる家だとも見えない、自分の家と對稱に建てた家なのだから、同じやうな二た間が縁側に臨んでゐて、同じやうに硝子の嵌つた障子が兩方に開いてゐる。こちらのよりも稍古りた疊の端が見える外には何一つ異つた容子もない。もとよりそれ以上中を覗き込む事は出來ない。(鈴木三重吉)
併し別に西洋人のゐる家だとも見えない、自分の家と對稱に建てた家なのだから、同じやうな二た間が縁側に臨んでゐて、同じやうに硝子の嵌つた障子が兩方に開いてゐる。こちらのよりも稍古りた疊の端が見える外には何一つ異つた容子もない。もとよりそれ以上中を覗き込む事は出來ない。(鈴木三重吉)