★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

「既成事実への屈服」と「権限への逃避」

2014-02-25 02:35:49 | 文学


「移動する村落」を読んでいたら、蚊柱が出てくるせいか隔靴掻痒となり、丸山眞男の「軍国支配者の精神形態」をつまみ食いする。よく知られた論文であり、みんなが日本のファシズム?の矮小性や「日本の辺境性」などを証明するのに使ったりしているわけであるが、どうも、たとえば丸山の言う「既成事実への屈服」と「権限への逃避」というのは、「即」や「今度は逆に」によって繋がるべきではなく、ちゃんと現実的なプロセスがあるのだと思う。そこで、どのような恐喝や屈服があり得るのか、これをおそらく丸山は描いていないと思う。(心の中では描いてた……)で、葉山嘉樹は、そのプロセスしか書いていないような気がする。