★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

SDGsとか言うてるのは西洋かぶれ

2023-11-30 23:37:54 | 文学


老人は二た言目には「今の若い者は」を口にして、西洋かぶれのしたものは何に限らずダークのあやつりと同じように腰がきまらない、うすっぺらだと云ってしまう。尤も老人の言い草には常に多少の掛け値があって、一と昔前はそう云う御自身が歯の浮くようなハイカラ振りに身を窶していた時代もあるのだが、日本の楽器は単純だなどと云おうものなら躍起になって得意のお談義が始まるのである。そうなると要はつい面倒で好い加減に引き退ってしまうけれども、心のうちでは一概にうすっぺら扱いされるのに平らかでないものがあった。彼は自分のハイカラは、今の日本趣味の大部分を占めている徳川時代の趣味と云うものが何となく気に食わないで、その反感から来ていることは自分にはよく分っていながら、それを老人に納得させる段になると、何と説明したらいいか云い現わしように困るのであった。

――谷崎潤一郎「蓼喰う虫」


板東洋介氏の谷崎論を一気読みしたついでに、授業で「刺青」などを語ってみたわけだが、――勢い余って、今日の授業での問題発言:SDGsとかゆってるのは西洋かぶれ

来年度は、とりあえず、人生は短いので、現代短歌でも授業でやってみることにしたい。