久吉に袖を引かれた時に、お幸は郵便配達夫になることを此処で弟と相談して見ようと思つて居たことを思ひ出しましたが、其儘なつかしい母の顔のある家の中に入つて行きました。
二人の母親のお近は頼まれ物の筒袖の着物へ綿を入れた所でした。
「唯今、母様、こんな遅くまでよくまあお仕事。」
とお幸は口早に云ひました。
「お帰り。道は淋しかつたらうね。」
「月夜ですもの提灯は持たないでもいいし。」
――與謝野晶子「月夜」
もう実質やってるようなものだが、いくつかは資料も配らず黒板だけで講義をやろうかと思っている。まだ記憶で引用もなんとかなりそうなんで。パワーポイントつかった授業が、恰もテレビ見ているだけの状態になっているのおおいし、グループワークはつい誰でも参加できそうなレベルにお題が下げられがちで、授業の当初目指された内実につながらない場合も散見される。わたしもずっとレジメと黒板でやって来たが、レジメに情報入れすぎて学生に楽させすぎであった。