人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

血行障害と幻の軍隊

2016-12-05 17:24:58 | 回想
私は6年ほど前、重度の負傷(複雑骨折)で入院した事が有ります。
初めの集中治療室に入れられた時は、ほとんど寝ていたという記憶しかないのですが、夢とも幻覚ともつかない、ケッタイなもの(ヘンな生き物とか)、風景などを様々見せられていたのですが、数日経って、手術した後にはパッタリ見なくなりました。
精神的に落ち着いてきたものの、今度は私の日常生活からはいささか早い、毎夜の消灯時間になると、ある悩みの種がやってくるようになりました。
”ヤツらは暗くなると、空調が静まるとやってくるんです…ザワザワと、群れを成して…這いずり回って、足元にたかり出し、やがて全身に…ああ、身も心もヤツらに占領されちまうんです~、もう、寝てるどころじゃないんですよ~”
と、いうようなことをある夜、中々眠れない悩みを主治医の姉ちゃんに訴えたのです。
翌朝、検診の時間に、見慣れない先生が来ていて「ご機嫌はいかが…」とかでなしに、いつもと全く違う様子のことを私に聞いてきました。
「昨夜は例の軍隊は現れましたか?」
「はあ?軍隊?何の話ですか?」と、私…
「あなたが昨夜話していたことですよ…毎夜ヤツらがやってくるとか…ほら、この主治医に…」
「ああ…あれね…もうね、暗くなると空調が下げられると、途端に全身が痒くなるんですよ、虫かなんかが居るのかなあ…しかし軍隊てえーのは何の話だか分かりませんねえ…」
「あ、あなたはもしかして昨夜言ったことを覚えていないんじゃないですかあ?…意識障害の可能性もある…これは病棟を変える必要もあるかな…」
なぬっ!この先生は神経科かなんかの専門ではありませんか¡ 何で又こんなことに…
突然、私のベッドの周りに何か私を貶める陰謀めいた空気が漂い出しました。私は何かの嫌疑をかけられているようです。
これに似た空気はそれ以前、警察の取調室でもありました。あの時よりはずっとマシな状況でしたが…(二年前の過去記事”それでも私はやっていない”参照)
数人の正常な人に取り巻かれて、私は今にも異常者のレッテルを張られようとしているのです!…(ま、堂々と正常者と言い切れる訳じゃ無いですが…)
この、血行障害に起因した(そのような診断でした)私の精神病棟行の危機は、私の明瞭なる意識を示すような、毅然とした態度による、このような弁明により、そして祈り心によって何とか事無きを得たのでした。
「もしかして夜な夜な猛威を振るう、ザワザワと全身を痒くさせる何かのことが、どっかで幻の軍隊に化けたんじゃないですか?…私はただ主治医の先生に分かり易く、詩的な表現で”ヤツら”のことを説明しただけなんです。この先生(姉ちゃん)ならそういう事を解してくれると思って…そ、それにしても軍隊とは…いいですか、ザクザクじゃない、ザワザワです…匍匐前進じゃない、何かが這いずり回る感じです!そこんとこちゃんと把握してもらわないと!」
誰が血行障害を幻の軍隊にスリ代えたのかは分かりませんが(私は姉ちゃんを責めたくなかったので、すぐこの問題を引っ込めました)、とにかく病院の精神科病棟、警察の取調室、カルト宗教(勿論、前二者については健常者、シロであるのが前提の話です)などでは、偏った、一面的観方、決めつけた扇動的言辞ばかりが支配していて、何が真理で何が虚偽だか分からなくなり、拠り所にしていた自分なりの信念もグラつき、心に空洞が開いたようになります。こうした不安定な、意識の弱体化した精神状態の中でふわっと、周りの言葉に委ねた方が楽なような気がして来て、ついその支配を許してしまいがちになります。
私は、この不安定な精神状態が高じてしまったのか、意識を失うような恐怖を味わった事が有ります。
そして祈りを通じて、その危機から離れる事が出来たことは何度も書いています。
やがて心に開いた空洞に愛が満たされるようになり、以前にもまして”私はここにいる”という感じの意識が明瞭になってきたのです。
事の真偽がぼやけた状況に置かれていても、簡単に心を別のものに渡してはなりません。
あなたの心の底で息づいている、”ここに生きているあるもの”とは別のものに…
何が真で何が正しいか分からなくなっても、祈り心で愛の息吹を待ち望みたいものです。
そういう事で差し迫る苦境も開けるかも知れません。
何を信じたらいいか分からない世の中にあって、本当に委ねるべきは真理でも善でも無い、深い愛を感じさせるものではないでしょうか?








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