相棒が一軒のお店に入っていった。
暫くして小さな袋を提げ出てきたので、「何?」と聞くと、「饅頭を買った」と言う。
見ると“野根まんじゅう”だ。
20代初めの頃、足摺から室戸を見ての帰り道、甲浦(だったと記憶しているがもしか
したら野根だったかも知れない)でバスを降りた。
少しあった乗り換え時間を利用して、町を歩いていて、とあるお土産屋さんを見つけた。
ユースホステルの食事以外、グルメどころか、ろくすっぽ昼食も食べていない貧乏旅行の
身には店先に並べられた饅頭が空腹を刺激した。
店先で散々迷った挙句、思い切って中に入り一番小さな包を一つ買い求めた。
その店先でしゃがみ込んで貪るように食べていると、暫くしてお店の人がお茶を持って
きてくれた。
五つ六つ入っていた包だったと思うが、あっと言う間に胃袋に落ちた。
お茶を出してくれた事が嬉しくて、食べ終わると再び店に入り、少し大きな箱を一つ
お土産に購入した。
恐らく、湯飲みを唯返すだけに気が引けたことも有ったのであろう。
当時はこんな気弱な青年で有った。
「これは天皇陛下(昭和)に献上された有名なお饅頭だ」と言って、両親にお土産を
渡すと、明治と大正生まれの信心深い両親は「勿体無い」「有りがたい」と封も切らず、
先ず仏壇にお供えし、すぐには食べようとしなかった。
こんな懐かしい思い出の有る“野根まんじゅう”は、それ以後、四国に来る機会がある
度に必ず買い求めるお土産の定番になった。(続)
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暫くして小さな袋を提げ出てきたので、「何?」と聞くと、「饅頭を買った」と言う。
見ると“野根まんじゅう”だ。
20代初めの頃、足摺から室戸を見ての帰り道、甲浦(だったと記憶しているがもしか
したら野根だったかも知れない)でバスを降りた。
少しあった乗り換え時間を利用して、町を歩いていて、とあるお土産屋さんを見つけた。
ユースホステルの食事以外、グルメどころか、ろくすっぽ昼食も食べていない貧乏旅行の
身には店先に並べられた饅頭が空腹を刺激した。
店先で散々迷った挙句、思い切って中に入り一番小さな包を一つ買い求めた。
その店先でしゃがみ込んで貪るように食べていると、暫くしてお店の人がお茶を持って
きてくれた。
五つ六つ入っていた包だったと思うが、あっと言う間に胃袋に落ちた。
お茶を出してくれた事が嬉しくて、食べ終わると再び店に入り、少し大きな箱を一つ
お土産に購入した。
恐らく、湯飲みを唯返すだけに気が引けたことも有ったのであろう。
当時はこんな気弱な青年で有った。
「これは天皇陛下(昭和)に献上された有名なお饅頭だ」と言って、両親にお土産を
渡すと、明治と大正生まれの信心深い両親は「勿体無い」「有りがたい」と封も切らず、
先ず仏壇にお供えし、すぐには食べようとしなかった。
こんな懐かしい思い出の有る“野根まんじゅう”は、それ以後、四国に来る機会がある
度に必ず買い求めるお土産の定番になった。(続)
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