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簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

相模の国境(東海道歩き旅・相模の国)

2018-04-23 | Weblog

 保土ヶ谷宿の上方見附を後にした旅人は、その先で国境越えを目指す
「権太坂」の上りに挑むことになる。当時の坂は相当に厳しく、行き倒れ
の人馬が出るほどで、その距離はおよそ15町にも及ぶ。
しかし、無事登りつめれば、そこには素晴らしい景色が待ち構えていた。



 切通し道の眺望が突然開け、東には江戸前の青い海がキラキラとひろがり、
西の山並みの向こうには秀峰富士の山を望む絶景に、旅人はしばし茶店に腰
を落ち着け、弾んだ息を静め茶をすすり名物のお餅に舌鼓を打ったと言う。



 そこは国の境を示す木の杭が立てられた境木立場・武蔵と相模の国境で、
この地には古い言い伝えの残る、境木地蔵尊が鎮座している。



 いつの頃のことか、鎌倉の腰越浜に地蔵が漂着したそうだ。「江戸へ運ん
でくれたら海を守ろう」と願う地蔵の声を夢枕で聞いた漁師が江戸へ運ぼう
とするが、ここまで来たのにどうしたわけか動かなくなってしまった。
このため地元の住民がここで引き取り、お堂を建て安置したところ、それか
らと言うものこの村が繁盛したと言う。



 往時この界隈にはたくさんの茶店が建ち並び、名物の「牡丹餅」や「焼餅」
が売られ大層な賑わいで、この坂を「焼餅坂」或いは「牡丹餅坂」と呼ぶほど
であったと言うから、それは取りも直さずこのお地蔵さんのおかげなのかもし
れない。



 境木のお地蔵様に旅の安全を祈願した旅人は、相模の国に向けおよそ
1町半(約160m)の道のりで「焼餅坂」を下り、その先で更に「品濃坂」を
上り下りすることになる。(続)



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