簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
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登録有形文化財の駅(JR乗り潰し・伯備線)

2016-10-26 | Weblog

 伯備線は大正8(1919)年8月に鳥取県側から開業が始まり、全通したの
はその10年近くも後の昭和3(1928)年10月のことである。
備中松山藩の藩政時代、藩財政立て直しの立役者「山田方谷」に因んだ駅
名が付く「方谷駅」は、その全通時に作られた。



 高梁川が目の前を流れている。
川と並行する国道180号線からは、駅に向けて心細い橋が川を跨ぎ向かっ
ている。その駅前には僅かばかりの広場があり、何軒かの民家が建ってい
るが、周りに集落があるわけでもない。
こんな地にひっそりと建つ「方谷駅」には、秘境の趣がある。



 秘境駅のランキングによると、この駅は197位となっている。
国道から川を渡り進入する取り付け道路が有ること、駅前に僅かながらも
民家があること、停車する普通列車も1~2時間に1本程度は確保されてい
ること、などが順位を下げているようだ。



 しかしそれ以上に、この駅の価値は認められている。
この比較的小振りな作りの駅舎は、木造平屋建て、切妻の屋根には、セメ
ント瓦が葺かれていて、外壁は下見板張り正面には車寄せが迫り出し、駅
舎への出入り口になっている。



 その柱は木ではなく特徴的な凝った意匠の造りで、左官の技量による洗
い出しと言う技法によるものらしい。
下部が少し太くなっているので、どっしりとした安定感を見せている。



 中に入れば少し出張った出札窓口が有り、改札を抜ければ壁には、旧国
鉄時代の仕様で造られた駅名標もかけられている。
田舎の古里を思い起こす、なんとも懐かしささえ感じるこの駅は、平成23年
に国の登録有形文化財に指定された。(続)



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