昭和6(1931)年国立公園法が施行され、その三年後の昭和9年3月に我国
最初の国立公園の一つとして指定されたのが瀬戸内海国立公園である。
多島海景観と人文景観が一体をなす独特の自然風景が評価されての事だ。
今では、東は和歌山県の加太・友が島・新和歌浦から、西は北九州市の関門
海峡辺りまで11府県にまたがっている。


岡山県内の公園区域は広範囲で、日生諸島、笠岡諸島などの島々と、沿岸の
夕立受山、牛窓、貝殻山、金甲山、渋川海岸、王子が岳、由加山、鷲羽山など
が含まれている。児島半島南部に位置する鷲羽山は、その中心的な景勝地で公
園設置当初から指定されていた地域の一つである。


文豪・徳富蘇峰が来遊した折、「瀬戸内海の美景をすべてここに集める」と
言う意味で山頂を「鐘秀峰(しょうしゅうほう)」と命名した。
景観の特徴は花崗岩質の荒れ地で、そんな地でもよく育つマツが多い事だ。
花崗岩の多くは風化によりボロボロと崩れているが、風化の原因は、かつて鷲
羽山が海底に沈んでいた時代の海水中の塩分によるものも多分にあるそうだ。


また眼前の瀬戸内海の海底からは、ナウマン象など時代を異にした二種類の
ゾウの化石が見つかっている。これは昔日本列島が大陸とは陸地続きであった
こと、瀬戸内海が幾度か陸地になっていたことを物語っている。
鷲羽山には数万年前から人類が住み着いていて、その遺跡も多い。
サヌカイトも発掘されていて、魚や獣を捕る生活をしていたらしい。(続)
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