簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

日本一の路線バス(日本一路線バスの旅)

2018-07-02 | Weblog
 近鉄線の大和八木駅前(奈良県)から、JR紀勢本線の新宮駅(和歌山県)
前まで、全長166.9Kmを、高速道路を使わないで走行する路線バスがある。
この間の停留所は何と167を数え、所要時間はおよそ6時間半も要す。
これが走行距離、停留所の数、所要時間のどれをとっても日本一と言われる
奈良交通の運行する路線バス「八木新宮線」である。







 元々は1920年代頃から五條市と県南を結ぶバス路線が有り、それが徐々に
南に延伸されたものらしく、1963年になって奈良東大寺大仏前から新宮駅間
で運行が始まったのがその始まりとされている。
その後紆余曲折があり現在の路線に落ち着いたようだが、それでも既に50年
を超える歴史を有することになる。

 バスは途中日本一大きな村、広さ672平方キロメートルと言われる広大な地
のほとんどが厳しい山間地の十津川村を駆け抜ける。
この村ではこれまでに鉄道や高速道路が作られることもなく、この路線バス
だけが村民の足となり唯一の公共交通機関となっていて、バスに頼るしかない
住民たちのその歴史を刻んできた。
しかし近頃では沿線の過疎化が進みマイカーが普及し、本来の用途であった
村民利用は減り、足は遠のいてしまった。







 大和八木駅前を出ると国道24号や国道166号で賑やかな市街地を抜け、その
後は紀伊山地を貫く国道168号に出て、丹生川・天の川・十津川などの蛇行に
沿うようにひたすら南下を続ける。
沿線には世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の小辺路や、玉置神社・熊野
本宮大社・速玉大社などの寺院を始め、大塔・十津川・湯の峰・渡瀬・川湯
などの温泉地が目白押しで、それらの観光の足となると同時に、車窓も素晴
らしく全てにおいてスケールのでかい路線バスとしてその物珍しさから今俄
かに注目を集めている。(続)


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