簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

潮見坂 (東海道歩き旅・遠江の国)

2020-12-21 | Weblog


 旧白須賀の宿場を抜けると旧街道は、右手に蔵法寺を見てその先で右
に直角に曲がり潮見坂の上りに取りかかる。
登り口の辺りには、雰囲気の良い古民家風の建物も二三残されていて、
旧宿場町の面影を良く伝えている。



 この辺り一帯は高師山の急峻な海食崖 目の前に広がる大海原、遙か
に富士山をも見通す東海道でも屈指の景勝の地として有名であった。
その急崖を上り下りする坂が潮見坂で既に中世の頃より知られていた。
街道の登り口の標高は10m余で、ここから600m程の間に標高76mまで
上る坂は厳しい。
遠江路は比較的平坦地が多かっただけに、久々に味わう急坂である。



 「遠州七十五里の大灘」と言われた遠州灘を望み、西国から江戸へ向
かう旅人が、ここで初めて太平洋の大海原を眼にし、この壮大な眺めに
度肝を抜かれたと言う。
江戸(東京)に下る明治天皇もここでは休憩をされ、初めて太平洋を眺
めたのだそうだ。



 昔、オランダ商館付きの医師として江戸参府に同行したケンペルも、
「ここまで来て、世界中で非常に高く美しい山、富士山が初めて見えた」
と日記に残している。
富士の山を遠望でき、「浜辺の千鳥の声 微かに聞こえ来る」処として、
数々の紀行文などでも紹介される有名な景勝の地であった。



 喘ぎながら坂を上り、所々で歩を止めて振り返ると、遠州灘の絶景が
の筈であるが、道に覆い被さる木立は深くバイパス道路のコンクリート
壁等に隠された視界は悪く、残念ながら富士の姿どころか、白波押し寄
せる遠州灘などまるで見えない。(続)





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