簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

法師温泉 長寿館 (JR全線乗潰しの旅)

2015-07-27 | Weblog


 「長寿館」の玄関前には「御入浴客御定宿」「湯本 長寿館」の古びた看板が掛け
られている。開業当時のものらしく、江戸時代の旅籠の面影を今に残している。
軒下に架かる「日本秘湯の会」の白い提灯が如何にもそれらしく映え、その横に立
つ赤い郵便ポストがなんだか懐かしい。



 吹き抜けの玄関を入ると正面に大きな神棚が有り、その座敷にある樹齢1300年の
栃の木でできた大きな火鉢目が目に付く。
大時計が架かり、ランプが下がり、片隅に置かれた電話機など、どれもこれも歴史を
感じるものばかりだ。



 この温泉を有名にしたのは、1982年に発表された俳優の上原謙と高峰三枝子が
混浴の湯船につかっている旧国鉄のフルムーンポスターである。
その衝撃的なポスターは、今でも館内に張られている。



 この浴室は、イギリスの鉄道技師の設計により1895年に完成したもので、鹿鳴館
様式のモダンな外観で、その屋根は緑に苔むしている。

 浴室は、天井が高く広々と開放的で、窓越しに差し込む光と、壁際の電球の灯りが
織りなす陰影が、何とも言えなく暖かで、懐かしさを醸し出している。

 混浴の総ヒノキの大きな浴槽は四つ、田の字型に区分けされていて、各々の中央
に木枕と呼ばれる杉丸太が渡されている。
浴槽脇には当時の脱衣箱もそのまま残されていて、一層雰囲気を盛り上げている。



 この浴室は、太古の昔の川底の上に立てられていると言う。
この場所は元々川を堰き止めた石囲いの浴槽があり、その後そこに湯屋が出来た
ため、川の方がこの建物を避け蛇行しているのだと言う。

 やや深めの湯船の底からは、源泉(43℃)が今も湧き出ている。
木枕に頭を預け、目を閉じ、思い切り四肢を伸ばし、ややぬるめの湯につかると
全てを忘れたように時が止まる。そんな至福が、ここにはある。(続)





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