まこの時間

毎日の生活の中の小さな癒しと、笑いを求めて。

その日のまえに  重松清

2014-05-16 | 暮らし
電車で金沢へ行く楽しみは本を読んで行けること。病院では待ち時間が苦にならない。堂々と読書時間を満喫できるというもの。
家にいると、主婦にはなにかしら用が出来るし、じっと何時間も本を読むのは罪悪感を感じるので、案外病院の待ち時間はいいものだ。

しかし、今回は選択した本を間違えた。旦那の本棚から「その日のまえに」(重松清著)を、かばんに入れて行ったはいいが、重松清は読ませる上に泣けるツボが多すぎる。

おまけに、大切な人との別れの話がいくつも出てきて、それがうまくつながっていくのだ。電車の中で涙が出てくる。横に座ったおばさんたちがとりとめのない話をしているのも気にならず。

待合室でも泣けてくる。重松清は、大切な人を亡くした経験があるのか、癌患者を知っているのか。心情がリアルだ。そこはプロの小説家だ。どんどんのめり込んでいって気づいたらティッシュでやたら鼻をかんでいた。

おまけに、先日同級生のEちゃんの訃報が新聞に載っていたのと同日に、弓道のNちゃんが若いのに亡くなったことを知らされ驚いた。そして、その人たちと周りの人たちの悲しみは計り知れないが、わたしたちの日常は変わらず続く。いつか、その日は誰にでも来ることを、重松氏は本当にせつせつと書いていくので、じわじわと涙が湧いてくるのを止められない。

次は違った感じの本を持っていこう。