映画「ライオン」の原作はオーストラリアで、
日本では「25年目のただいま」と言うサブタイトルがつけられている。
インドの貧しい家庭に生まれ5歳の頃に迷子になった少年サルーが、
オーストラリア人の養子となりオーストラリアで育った。
25年後、グーグル・アースを使用して生まれ故郷を探し出し、
故郷で母と妹と再会すると言う実話、サルー・ブライアリー著:
「A Long Way Home」(2013年)が原作である。
<ストーリー>
物語は1986年マディヤ・プラデーシュ州のカンドワーから始まる。
5歳のサルー(サニー・スィン)は、母親と兄グッドゥー、
生まれたばかりの妹シェキラと暮らしていた。
父親は登場せず、母親は石を運んで生計を立てており、
生きて行くためにサルーは兄と一緒に石炭を盗んだりしていた。
映画ではハッキリさせてないが・・・
実はサルーはムスリムであった。
サルーの父親はサルーが3歳の時に家を出て、
別の女性と結婚しており、故に登場しなかった。
ある日、兄と一緒にお金を得るために出かけたサルーは、
回送列車に乗り込んで眠ってしまい、
2・3日かけて1600Km離れたカルカッタに到着する。
もちろん子供であるサルーには解らない。ヒンディー語しか解らないサルーは、
この地の公用語であるベンガル語は理解できない。
宛もなく歩きだしたサルーは一見親切そうな女性に助けられたが、
人身売買業者に売られそうになり危険を感じて逃げ出した。
そして運良くか悪くか児童収容施設に連れて行かれる。
インド助成養子縁組協会(ISSA)の
サロージ・スード(ディープティー・ナヴァル)の紹介で、
オーストラリア人夫妻スー(ニコール・キッドマン)と
ジョン(デヴィッド・ウェンハム)の養子となる。
タスマニア島に渡ったサルーは何の苦労もなく育って行く。
その1年後、施設で一緒だったマントーシュがやって来る。
マントーシュは精神的に問題を抱えていたがスーとジョンは、
それが自分の使命とばかりに育てて行く。
成長したサルー(デーヴ・パテール)はメルボルンの大学に進学し、
そこでGFのルーシー(ルーニー・マーラ)と知り合う。
ある日、同じインド人の学生がサルーが養子になった経緯を聞き、
グーグル・アースを使って故郷を探し出すことを提案する。
サルーは育ててくれたスーとジョンに対する裏切りになるのではないか、
と思いつつも仕事も辞め、家に閉じこもりきりで、
果てしない作業に没頭していく。
実際には・・・6年間かかったそうだ。
25年前の5歳の時の記憶は正確ではなかったが、
ある日、サルーはとうとう自分の故郷を発見する。
それはカルカッタから西に行ったガネーシュタライーという村だった。
サルーは現地に向かい母カムラー(プリヤンカー・ボース)と再会する。
兄のグッドゥーは、サルーが迷子になったその日に列車にはねられて死んでいたが、
生まれたばかりだった妹シェキラは立派に育っていた。
翌年、サルーはスーを連れて村に行く。
この映画で感じた事は・・・
親子関係に血のつながりは重要なのか?と言う事だ。
どこの誰の子供かも解らない国籍の違う子供サルーとマント-シュを、
実の我が子の様に育てるスーとジョン。
実の親子であっても、ここまでの関係を築けない人々もいるだろう、
タイトルの「LION」であるが、サルーの本名はシェールだった。
ヒンディー語でライオンと言う意味だ。
なお、サルーはオーストラリアに住んでおり、
年に数回、インドに帰っているそうだ。