インドの2大叙事詩は「ラーマ・ヤーナ」と
「マハー・バーラタ」である。
「ラーマ・ヤーナ」はヒンドゥー教のラーマ神の物語で、
「マハー・バーラタ」は偉大なるインドと言う意味で、
全18巻、10万誌節、20万行を超える世界最大の叙事詩だ。
紀元前4世紀頃の物と言われていれが、
実際にはそれ以前の物も含まれているらしい。
「マハー・バーラタ」では、
ここにあるもの総ては何処にでもあり、
ここに無いものは何処にもない。
と豪語しているのだが、バラモン至上主義の内容であるので、
当然都合の良い事しか書いてないし、偏っている。
本編はパーンドゥ王家の5人兄弟にまつわる話である。
18日間の戦いで4億人が死亡し最後に生き残ったのは、
パーンドゥ王家の5人兄弟と6人の王妃だけだった。
全体の3分の1は民間伝承の物語で、
イソップ物語のような動物を主人公にした話もある。
私はインドの昔話を読んだ事があるが、
確かに知っている物語も多かった。
そんな長い物は一生かかっても読み切れないので、
とりあえず(家にあった)本を読んでみた。
買ってんだけど記憶がないので・・・・
たぶん買って安心してしまい読んでなかったと思う。
部屋のお片付けの中で発掘されたこの本、
全16話、258ページ。
これなら1日で読める~と言うわけで読んだのだった。
ヒンドゥー教の神様や王様や聖仙の話が多いが、
昔は性に対しておおらかだったのか、
(ヒンドゥー教の神話はその手の話も多い)
みな一様にまぐわっているのだった(笑)
一番良かったのは第4話の「虫の幸せと人間の幸せ」だ。
これは前世人間だった小さな虫が輪廻を繰り返して、
再び人間に生まれ変わり王にまでなる。
インドなのでカーストがあり、この虫はクシャトリアだった。
社会科で習ったカーストは4つあり、
バラモン、クシャトリア、シュードラ、ヴァイシャ。
(実際には数千もの職業別カーストがある。)
再びクシャトリアの王になった虫は、
最上級カーストのバラモンになりたいとは思わない。
バラモンの最高の資格は徳性であり、
その徳性の力によって畏れられ尊敬されている。
バラモンにならなくとも同じ生き方はできる。
バラモンであっても特性の乏しいバラモンは、
バラモンとは言えない・・・。
これよ、これ!!
バラモンに生まれても心の卑しい人間はいる。
バラモン以外でもバラモン以上の徳性を持った
人間もいる。
カースト、生まれは関係ない、のである。
「マハー・バーラタ」の中にちゃんと書いてあるのに、
なんでインド人は知らないのだろう。
ぜんぜん解ってない、と思った。
と言う事で、この本はお勧めである。