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カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「灰夜:新宿鮫Ⅶ」大沢在昌

2022年04月03日 21時32分59秒 | 本 / BOOKS

大沢在昌の新宿鮫シリーズの第7段で2000年の作品。

鮫島宛に遺書を残して自殺した同期入庁の宮本の
七回忌の法事に出かけた鮫島が何者かに襲われ、
監禁されているシーンから始まる。

気が付いた鮫島はそこが獣用の檻であり、
どうして自分がそこにいるのか思い出そうとする。

誰が何のために? 全く事件とは無関係であり、
宮本の故郷に法事に出席するだけの為に出かけた自分が、
なぜ襲われたのか?

元警察官の宮本の父親と宮本の元妻、そして幼馴染。
麻薬を追って福岡からやってきた公安の刑事が、
在日である宮本の幼馴染を調べていた事から、
鮫島と接触し、それによって無関係の鮫島が、
公安と同じ目的でやって来たと思われてしまう。

宮本の人となり、そして鮫島との関係、
宮本との縁から巡り会ってしまった在日の幼馴染、
在日は日本に住んでいても、たとえ帰化したとしても、
国家への愛着や忠誠は日本人には判らない物がある。

お金に執着する者、愛国心、国籍や信条に捕らわれず、
人間同士の結びつきを大事にする人間。
それぞれの欲望と人間関係で動き、命を奪い合う。

 他のシリーズと異なっているのは、新宿が舞台でないと言う事、
 非番の日に巻き込まれた事、2・3日の間の事件であると言う事、
 登場人物が宮本の故郷での限られた人物であると言う事、
 晶がほとんど登場しない事。

 それでいて濃い人間関係と深い政治的思想が根底にあり、
 私欲も混じり、たくさんの関係者が死んでしまう。
 なんか悲しいなぁ・・・。

コメント
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