大沢在昌の新宿鮫シリーズ第9弾。
鮫島の同期で順調に出世している公安警視正の香田。
今までも登場しており、お互いの立場や正義感の違いから
対立はしているものの警官としては認めあっていた。
ナイジェリア人が麻薬がらみのトラブルで殺され、
そのルートを追う鮫島。
今作品では鮫島の立ち位置は変わらないのだが、
増え続ける外国人犯罪を抑え込むために暴力団を利用し、
毒を以て毒を制す事を考える香田。
そこへ鮫島の好敵手としてたびたび登場する謎の男、
千の顔を持つ男だから仙田と言うのか?
ある時は日系ブラジル人のロベルト・村上、貿易商の深見、
正体不明の仙田は盗品売買の闇市場を仕切る男として登場する。
泥棒市場で様々な盗品を扱う深見は中国人の美女を見込み、
売買を任せる。麻薬を扱わずヤクザとは手を組まない仙田であったが、
一角を任せたヤクザに市場を乗っとられそうになる。
仙田が愛情を注ぎ寄せ育て上げた美女がヤクザに寝返った事で、
一気に破滅に向かってしまう。
鮫島に正体を暴かれつつある事を知り、
また美女とヤクザとの愛と野望に打ち負かされた仙田が、
香田がそのヤクザと手を組み自分を抹殺しようとした事で、
自分の命と引き換えに守ろうとしたものは?
当初、香田が今までの出世街道とは外れて
泥臭い事件を担当する事を意外に思う鮫島だが、
その裏には家族を襲われた事の怒りがあった事に気づく。
最終的に鮫島は好敵手であった仙田と香田の二人を失ってしまう。
仙田が破滅してしまったのは残念である。
香田はまた別の角度から絡んでくるみたいだけど。
次は10作目・・・・・。
先を読みたいのは山々であるが、
シリーズが終わって欲しくない気持ちもあるわけで、
非常に複雑である。