大沢在昌の最新刊。図書館でずっと予約待ちだったのが、
順番が回ってきたので新宿鮫シリーズの途中で読んだ。
新宿鮫シリーズが重厚だったので箸休めにちょうど良いくらい、
軽かった。同作者の「僕はエージェント」的なノリ。
主人公は旅行業を営み自ら旅行者を案内する佐抜。
彼は中国語とベサール語(アジアにある架空の王国)を話せる
数少ない日本人である。
16歳のベサール王子が第二婦人である日本人の母親と共に
日本にいる事から外務省の関係団体より身柄の確保を依頼される。
アシスタントとして元女子プロレスラーでベサール国籍のヒナを
紹介され二人で王子を追う。
王子が身を隠していると言われたのが通称「熱風団地」と言う、
アジア人が居住する団地であった。佐抜は恩師の大学教授にも
協力を仰ぎ、ヒナの叔父も巻き込んで行く。
失踪人捜索の探偵ごっこかと思えば、ベサール国を
操ろうとする中国、アメリカや日本も関係し、
国際情勢を揺るがす事件となっていた。
佐抜とヒナは素人なのに命を狙われる事態に発展、
外務省の関係団体のお役所的な対応も笑うに笑えない。
ツアーコンダクターと言う佐抜のキャラクターには、
同じような仕事をしていた私は感情移入できたし、
自分が佐抜になった感じがした。
熱風団地もいかにもありそうだし、
佐抜の恩師ではないが行ってみたいと思った。