大沢在昌で島を舞台にした作品は・・・
「パンドラ・アイランド」「月と海の迷路」そして「漂砂の塔」。
主人公は警察官の石上。石上は祖母がロシア人であり、
学生時代に中国語を勉強したため、ロシア語と中国語に堪能。
そのため、ロシア人マフィアのボリスの元に潜入捜査をしていた。
ところが手柄を焦った所轄署が取引現場に踏みこんだため、
石上がスパイである事がバレてしまう。
ボリスはロシアに逃げたが裏切り者の石上の命を狙うはず・・・。
石上は北方領土のオボロ島で起きた事件の捜査の為に送られる。
しばらくはボリスの手の届かない所と言う配慮でもあった。
オボロ島は日本の主張では日本の領土であるのだが、
ロシアに実行支配されている。ロシアの管理の元、
レアアースを採掘するために中国と日本の技術を持ち寄り、
24時間操業でプラントが動いている。
そのオボロ島で日本人労働者が殺され、石上は派遣されるが、
日本の領土ではないため逮捕権などは持たない。
犯人は閉ざされた島内にいるはずなので、石上を送る事で
日本人労働者を安心させる事と第2の殺人を食い止める狙いがあった。
石上はオボロ島で捜査を始めるが、日本側はともかく、
全体を管理するロシアには深い謎があった。
元KGBのロシア側の管理者は味方なのか、中国側の責任者は?
ロシア国境警備隊とFSB(昔のKGB)の諜報部員、
マフィアとのつながりは?
捜査を進める事は触れてはいけない島の歴史を暴く事に繋がり、
日本人が住んでいた頃に金が採れていた事、戦時中ロシアが
兵器を作り実験していた事、知ってはいけない事を知っていく石上・・・。
そこに島での利権を得るためにボリスがやって来る。
ボリスは石上を見つけ命を狙うと共に、利権を得るために
ナイトクラブのオーナーの命をも狙う。
閉鎖的な島で限られた人物が味方か敵か?
裏切りか? 信用か?
生き残るために協力者を選ぶ石上。
スリリングで面白かった。
対決の後ほっとさせてくれる所が良かった。