カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「漂砂の塔」大沢在昌

2022年08月02日 21時45分59秒 | 本 / BOOKS

大沢在昌で島を舞台にした作品は・・・
「パンドラ・アイランド」「月と海の迷路」そして「漂砂の塔」。

主人公は警察官の石上。石上は祖母がロシア人であり、
学生時代に中国語を勉強したため、ロシア語と中国語に堪能。
そのため、ロシア人マフィアのボリスの元に潜入捜査をしていた。
ところが手柄を焦った所轄署が取引現場に踏みこんだため、
石上がスパイである事がバレてしまう。

ボリスはロシアに逃げたが裏切り者の石上の命を狙うはず・・・。
石上は北方領土のオボロ島で起きた事件の捜査の為に送られる。
しばらくはボリスの手の届かない所と言う配慮でもあった。

オボロ島は日本の主張では日本の領土であるのだが、
ロシアに実行支配されている。ロシアの管理の元、
レアアースを採掘するために中国と日本の技術を持ち寄り、
24時間操業でプラントが動いている。

そのオボロ島で日本人労働者が殺され、石上は派遣されるが、
日本の領土ではないため逮捕権などは持たない。
犯人は閉ざされた島内にいるはずなので、石上を送る事で
日本人労働者を安心させる事と第2の殺人を食い止める狙いがあった。

石上はオボロ島で捜査を始めるが、日本側はともかく、
全体を管理するロシアには深い謎があった。

元KGBのロシア側の管理者は味方なのか、中国側の責任者は?
ロシア国境警備隊とFSB(昔のKGB)の諜報部員、
マフィアとのつながりは? 

捜査を進める事は触れてはいけない島の歴史を暴く事に繋がり、
日本人が住んでいた頃に金が採れていた事、戦時中ロシアが
兵器を作り実験していた事、知ってはいけない事を知っていく石上・・・。

そこに島での利権を得るためにボリスがやって来る。
ボリスは石上を見つけ命を狙うと共に、利権を得るために
ナイトクラブのオーナーの命をも狙う。

 閉鎖的な島で限られた人物が味方か敵か?
 裏切りか? 信用か? 
 生き残るために協力者を選ぶ石上。
 スリリングで面白かった。

 対決の後ほっとさせてくれる所が良かった。

コメント
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