大沢在昌の短編集。「深夜曲馬団」はミッドナイトサーカスと読み、
1989~1998年までに発表された5作品。
最初の「鏡の顔」は同名の短編集にも入っている。
2作目はかつて殺し屋で六本木でバーを経営している主人公が、
大金持ちの未亡人となった昔の恋人に依頼され別荘へ向かう。
仕掛けられた盗聴器から近所に住む絵描きと同居する外国人女性の、
隠された過去を暴く。母国ロシアを捨て死が近い老画家と暮らすと言う、
女性はKGBの諜報部員で命を狙われる。
3番目の「インターバル」はハードボイルドではなく誰も死なない。
子供の頃に暮らした、今は誰もいない家に20年ぶりに戻った男が、
郷愁にひたりながら、なまった身体を鍛える。
最後の2作は黒人と日本人とのハーフの男マービン。
六本木のジャズクラブのオーナーと言う表の顔と殺し屋としての顔を持つ。
最初の作品は自分の店で歌う若いハーフの女性歌手が、
人身売買の男にたぶらかされているように見せかけて、
実は恨みをはらすために取り込んでいた事がわかり、
マービンは自らも撃たれながら女性を助ける。
2作目は殺しを請け負いターゲットの家に向ったマービンが、
ボディガードを依頼された若い男が殺し屋である自分を待つのを見つける。
そこに別の組織の殺し屋が現れ、やられそうになった若い男を助ける。
自分は怪我をしながら忽然と姿を消す。
混血が故に殺し屋と言う役目を負うマービンの立ち位置。
組織を裏切りながらも若者を助けて姿を消す・・・。
続編あるかも・・・でも殺し屋をリタイヤした時の・・・
みたいな終わり方。