東野圭吾の推理小説でガリレオシリーズの第6段で、
シリーズ3作品目の長編小説。2011年発行。
湯川が美しい海辺の町を仕事で訪ね、
そこで起きた事件を解いていく。
夏休みのある日、小学4年生の恭平は、
両親が多忙のため親戚が旅館を経営する瑠璃ヶ浦に行くが、
列車の中で湯川と遭遇する。
湯川は海底鉱物資源開発の説明会に招かれ行く途中だった。
開発会社の経費で呼ばれてはいたが、学者として中立の立場で、
物事を見たい湯川は予約されたホテルではなく、
恭平の伯父の旅館に宿泊する事にした。
そこで・・・宿泊客が転落死してしまう。
酒に酔って岸壁から転落したと処理されそうになったのだが、
人物が東京の元刑事だった事から事故死ではないと疑われ、
草薙刑事が駆り出される。
大の子供嫌いの湯川が恭平とは気が合ったようで、
一緒に実験をしたり、勉強を教えたりする。
湯川は元刑事の死因が一酸化炭素中毒であった事から、
その原因を想像し推理して行く。
元刑事はなぜ瑠璃ヶ浦に行ったのか?
なぜ事故死に見せかけて殺されたのか?
草薙は16年前に元刑事が扱った事件から、
瑠璃ヶ浦との関係を暴いていく。
16年前の事件は犯人も逮捕されており、
服役した犯人は出所していた。
しかし元刑事はその事件に疑問を持っており、
自分が逮捕した犯人が誰かの身代わりになったのではないか、
と独自に調べていた。
草薙は調べて行くが、思いもよらない展開に・・・。
そしてその事件の真犯人が判るのだが・・・
「一事不再理」である。
これは「同一刑事事件について確定した判決がある場合には、
その事件について再度の実体審理をすることは許さない」
と言う事である。
16年前の事件はすでに終わっており、
今になって真犯人がわかったところで、
何もできないのである。
その真犯人が憎むべき凶悪犯ではないけれど、
でもなぁ・・・殺人を犯しているわけだし。
16年間、苦しんだとはいえ・・・・。
と、なんだかスッキリしないのだった。
2013年に福山雅治主演(ガリレオ:湯川学)で映画化されている。
草薙刑事は北村一輝。