1995年発行の東野圭吾の自伝的エッセイである。
あの頃・・・作者が中学入学を控えた小学生時代から、
中学、大学を経て就職試験に合格するまでを書いている。
が! ここまで書いちゃっていいのかなぁ。と思った。
作者は1958年、大阪市生野区生まれた。
1985年に「放課後」で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。
このエッセイは時系列になっており、
テーマごとに短編として書かれている。
家族構成は、時計職人の父親と母親、
5歳上と3歳上の姉の5人家族。
家計の事情から公立の中学校へ進学したが、
嘘かと思うほど荒れた中学校(作者の時代)で、
出だしから圧倒される。
教師にさえも一目置かれる不良相手に奮戦する学級委員の作者、
そこはまだ13・4の中学生なので子供なりにであるが、
不良は13・4の子供とは思えないほどの不良なのであった。
昭和30年代だからね・・・
日本もまだそんな時代だったと思われる。
推理小説を中心に100作を超える作品を書いた作者の子供時代が、
全く天才でもなく、タイトル通りのまぎれもない「アホ」。
フツーの少年と同じか、それ以下(失礼)であったとは、
かなり驚いてしまう。
男性であれば同じ男性として頷けるところも多いと思うが、
女性から見ると、なるほどあの頃の男子たちの生態は、そうだったのか。
などと思うところも随所にかかれている。
そこまで書いちゃって良かったのか。
男性読者はきっと「なんだ作家って言っても俺たちと同じじゃん。」
「ちっともすごくないじゃん。」と思っただろう。
成績も優秀ではなく、一浪して入った大阪府立大学では、
見事な落ちこぼれであり、駆け引きが功を奏して、
1981年に入社できた日本電装(現デンソー)での記載はなかったが、
恐らくはあまり役に立たなかったのではないだろうか(失礼)。
1985年に作家として独立するまでの4年くらいしか
在籍してなかったのだから、迷惑もかけていないと思うけど。
この作品を読んで私も作者はフツーの大阪の少年だったと思ったし、
才能はいつから開花したのだろうか。