生活に直結するスーパーマーケット事情。日本のスーパーは充実した品ぞろえや、高い品質、新作の並び替えが頻繁など、さまざまな良いところがあります。一方でネットスーパーやセルフレジはまだまだ発展途上と感じることも。日本と同じ島国の英国ではどうなのでしょうか。ひょんなことから英国に移住、就職し、海外在住歴7年を超えたMoyoさんが外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第18回は、発達している英国のネットスーパー事情です。
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ネットスーパーの使い勝手の良さに驚き
英国のスーパーは日本と比べて、商品内容が変わることがあまりません。そんな少し寂しい英国のスーパー事情について以前書きましたが、違う面でかなりの恩恵にあずかることもあります。
まず、なんといっても英国では、ネットスーパーがかなり発達しています。生鮮食品から冷凍食品、なんでも注文できるため、私も水やアルコール飲料、重いものをまとめて買うときなどによく使っていました。
気になる配送料も、期間中何回使ってもOKな定期パス制度がある店もありますし(6か月間で43ポンド、日本円で9000円程度)、1回きりの配送でもピーク時間帯じゃなければ1ポンド〜など、実際に持ち運んで帰ってこなければならない労力を考えれば、かなりお得です。
自家用車を持っている場合はそこまで苦ではないかもしれませんが、歩きや自転車で持って帰れる量には限度があります。また、配送スロットも月曜から日曜、早朝から夜まで1時間単位で選べることが多いので、自分の予定と生活時間に細かに合わせて調整できるのもうれしいところです。
日本のイオンと提携し話題になったネットスーパー専門の「Ocado」をはじめ、どのスーパーもオンラインサービスに力を入れています。そのため、自分のお気に入りのスーパーを決めて活用するといいかもしれません。
また、クリック&コレクトという手もあります。こちらはECサイトで事前に商品を選んで注文しておき、自分が店舗に赴いて商品をピックアップするだけ。配送料が一切かかりません。
急いでいるときや疲れているときなどに、店内を回るのは骨が折れますし、何より買い物の時間が省けます。用事のついでに取りに行くことなどができるので便利ですよね。
意外と進んでいるインフォメーション・テクノロジー!?
さらに画期的だなと感じたのが、会計システム。日本でも導入ケースが増加していると話題になっていると思いますが、セルフレジがかなり浸透しています。小さめなスーパーだと、だいたい2〜5台セルフレジが設置されているのに対し、人間が対応するレジは1台です。
前回帰国した際に、日本でもセルフレジがだいぶ増えた! と感じましたが、人間のスタッフが商品をスキャンして、会計だけ自動機械で済ますタイプも多く、驚きました。
確かにお金の受け渡し作業がなくなるだけでも効率的になっているのかもしれませんが、半分セルフという感じでしょうか。対して英国のセルフレジは完全に自己完結型。商品のスキャンから会計まで、全行程を1人で済ますことができます。
ただ、日本と同じように、アルコールなど年齢確認が必要なものはお店のスタッフを呼んで承認してもらう必要がありますし、スキャンエラーがたびたび起こることも。スタッフにエラーを直してもらうのにかえって時間がかかることがあります。
前の人がエラーを起こしたまま去っていき、機械が使えないまま放置されていることもよくあります。100%便利でストレスフリーか、と言われたら正直難しいかもしれません。
革新的な買い物スタイルの登場
そこで、最近新たに登場したのがチェックアウトフリーの、バーコードスキャン式の買い物スタイルや専門ショップ。セインズベリーズの「スマートショップ」、アルディの「ショップ&ゴー」(専門ショップに行く必要あり)などです。
前者の使い方は至極簡単。事前にスーパーが提供している専用アプリをスマホにダウンロードしておき、登録を済ませておきます。お店に着いたらアプリを起動し、店舗のQRコードを読み取るなど所定の手続きを済ませたら、そのまま買い物をスタート。
普段の買い物と違うのは、カゴに入れる商品をその場で自分でスマホでスキャンしていく点です。商品の選定が終わったら、最後に終了ボタンを押すと、アプリ内で自動決済できます。
つまり、セルフレジにすら並ぶ必要がなく、買い物を完結させることができるのです。ポイントカードや決済カードなども事前に紐づけているので、その場で面倒な入力・登録作業もありません。
しかもこのスキャンの精度がなかなか良く、大きな問題にぶつかったことがありません。
ただひとつの欠点は、スキャンから会計まで自己完結するので、万引きのように見えてしまうところ。買い物カゴではなく、エコバッグにそのままスキャンした商品を入れているときは、とくにそう見えてしまう気がします。
臆病な私は、セキュリティスタッフやお店のスタッフに見えるように、「自分は一つひとつの商品をスキャンしてちゃんと会計してます!」という姿勢を常にアピールしていました。ただ、実際はそこまで気にする必要がないかもしれません。
一方で後者は専門ショップに行き、スキャンなどもせずに袋に商品を入れていき、買い物を終えたらそのままお店を出るだけ。自動的に清算情報が表示される仕組みです。
このような革新的な情報技術が次から次へと生み出されているにもかかわらず、新商品開発にはなぜ力を入れないのだろうか、と疑問に残るのがまた英国らしさなのかもしれませんね。
Moyo