2024年、本年度の倒産は11年ぶりに1万件を超える可能性、さらに来年度は…(C)日刊ゲンダイ

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 このところ企業倒産の件数が増加しているが、来年はさらに増えそうだ。東京商工リサーチ(TSR)が今月上旬に行った企業アンケートで「自社業界の倒産が増える」と考える企業が63.0%に達した。昨年の同時期の調査では増加予測は56.7%で、6.3ポイント上昇した。業界別では「アパレル・小売り」が増加予測のトップ。「木材・木製品製造業」「印刷関連業」「道路貨物運送業」「飲料・たばこ・飼料製造業」と続いた。

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「驚きました。今年の倒産は11年ぶりに1万件を超える可能性がある。すでに件数が多く、来年は落ち着いて欲しいと思っているのに、今年より増えるという予測ですからね。理由は過剰債務です。コロナ禍で実施された実質無利子・無担保の『ゼロゼロ融資』などで、いつまで経っても返済のメドが立たない企業がたくさんある」(TSR情報本部長・原田三寛氏)

■まさかの「徳政令」も?

「ゼロゼロ融資」については、政府系金融機関が中小企業向けに行った特別融資について、1兆5000億円超が「返済困難」になっていると、会計検査院が今月18日に公表している。

 こうした企業が倒産予備軍であるのは間違いない。

 金融ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。

「不良債権が膨らんでいるのは民間金融機関も同様です。こちらは最終的に債務保証をしている信用保証協会が引き取るわけですが、その回収率は5%に満たない状況。ゼロゼロ融資は、条件変更や借り換えなどもあり、まだ20兆~30兆円残っている。回収不能がさらに拡大するのではないでしょうか。最後は“徳政令”で債務免除して公的資金を使うことになりかねません」

 そして驚くことに、過剰債務に陥っているのは企業だけじゃないという。

「個人の自己破産件数が増えています。消費者金融からの借り入れや住宅ローンが要因です。物価高や金利上昇で家計も大変。来年後半には企業倒産と自己破産が社会問題化する恐れがある」(森岡英樹氏)

 長すぎた円安と低金利政策のツケでもある。2025年はいろんな意味で大変な年になりそうだ。