ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ショーティ・ロジャース・コーツ・ザ・カウント

2012-05-21 21:33:27 | ジャズ(ウェストコースト)
本日は西海岸で活躍した白人トランペッター、ショーティ・ロジャースが1954年にRCAレーベルに録音した名盤「ショーティ・ロジャース・コーツ・ザ・カウント」をアップします。ここで言うカウントとはもちろんカウント・ベイシーのことで、西海岸の白人達によるベイシー風ビッグバンドとでも言った趣です。一般に日本のジャズファンの間では昔から黒人ジャズメンを持ち上げ、白人ジャズメンについてはビル・エヴァンスやアート・ペッパーなどの例外を除けば一段低く見る傾向があります。いわく白人はスイング感が足りない、アレンジ重視でアドリブが弱い、などなど。実はかく言う私も以前はそうでした。でも、ジャズを幅広く聴くようになった今では白人の中にも数多くの名手がいることを知り、少なくとも肌の色で差別することはなくなりました。




このビッグバンドも当時の西海岸オールスターとも言うべき内容で、魅力的なメンバーが名を連れています。リーダーのショーティはじめ、テナーのズート・シムズ、ジミー・ジュフリー、ボブ・クーパーにアルトのハーブ・ゲラー、バリトンのバド・シャンク、トロンボーンのボブ・エネヴォルセンなど総勢21名。いずれも名手揃いです。リズム・セクションはマーティ・ペイチ(ピアノ)、カーティス・カウンス(ベース)、シェリー・マン(ドラム)。私の知る限り黒人はおそらくベースのカウンスと、トランペットのハリー・エディソンのみで後は全て白人だと思うのですが、決して本家のベイシー楽団に見劣りしない分厚いビッグ・バンド・ジャズを聴かせてくれます。

曲はベイシー楽団のレパートリーが中心ですが、冒頭ゆったりしたテンポの中でも分厚いサウンドを聴かせる“Jump For Me”、ベイシーばりのペイチのピアノから始まるアップテンポの“Doggin' Around”が特に素晴らしい。ショーティ自身も自作曲を3曲書き下ろしていますが、“Basie Eyes”“Over And Out”などはベイシー楽団のナンバーと言われてもいいぐらいスイング感に溢れたナンバーです。全部で12曲、どれも3分前後の演奏ですが、その分コンパクトにまとまっていて聴きやすいです。「白人はスイングしない」なんて偏見を持ってる人には是非聴いてほしい名盤です。
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