ハードバピッシュ&アレグロな日々

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ボロディン/交響曲第2番、中央アジアの草原にて 他

2012-05-07 22:20:07 | クラシック(交響曲)

本日はロシアの作曲家、アレクサンドル・ボロディンを取り上げたいと思います。彼は音楽史的にはムソルグスキーやリムスキー=コルサコフらとともに「ロシア五人組」の一員として活躍し、ロシア音楽の発展に貢献した人物と位置付けられています。とは言え、一般的には「だったん人の踊り」を作曲した人、と言った方が通りが良いでしょう。この曲は本当に有名なので、みんなどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?

さて、そんなボロディンの作品ですが、たいていロシア音楽特集で「だったん人の踊り」や交響詩「中央アジアの草原にて」が単品で収録されているケースが多く、ボロディンだけを集めたCDはほとんどありません。そんな中、今日紹介するネーメ・ヤルヴィ指揮イェーテボリ交響楽団のCDは上記2曲に加え、「交響曲第2番」「夜想曲」とボロディンの代表作をもれなく収録した非常に貴重なCDと言えるでしょう。



まず、「交響曲第2番」。決して録音数の多いとは言えない作品ですが、これは知られざる交響曲の名品と言っていいのではないでしょうか?第1楽章、ベートーヴェンの「運命」を思わせるような重々しい弦のアンサンブルから始まりますが、中間部で一転して牧歌的な旋律が曲にアクセントをつけます。続く軽快なスケルツォの第2楽章を経て、本曲のハイライトとも言うべき第3楽章へ。ボロディンの真骨頂とも言うべき歌心あふれる旋律がゆったりと全編を流れます。第4楽章は勇壮なフィナーレで幕を閉じます。

続く「夜想曲」はもともと弦楽四重奏曲第2番の第3楽章として書かれたものですが、あまりにもメロディが美しいため後にオーケストラ用に編曲され、今ではそちらの方が有名になってしまいました。実にロマンチックで歌心にあふれた名旋律です。

「中央アジアの草原にて」は7分あまりの交響詩で、タイトル通り中央アジアのステップ地帯を隊商が進む様を描いています。旋律はアジアと言うより、ロシア的な雰囲気が強いですが、実に雄大かつ美しいメロディです。

最後はオペラ「イーゴリ公」からの抜粋です。有名な「だったん人の踊り」はこの中の1曲で、主人公のロシアの英雄イーゴリ公がだったん人(直訳するとポロベツ人)に捕らわれた際に、遊牧民族の踊りと歌が披露されるシーンの曲です。オペラ自体は正直マイナーですが、挿入曲であるこの曲はその余りに魅力的な旋律ゆえにもはや独立した作品として演奏されるようになりました。どことなく郷愁を誘う印象的な女性コーラスの後、ドラムが打ち鳴らされる激しい中間部と続きます。もう1つ「序曲」も収録されていますが、こちらは英雄物のオペラにふさわしい勇壮な曲です。

以上、どれを取っても魅力的な曲ばかりで、ボロディンの作曲家としての偉大さを感じずにはおれません。ボロディン=だったん人の踊りという認識しかない人は、是非他の曲も聴いてほしいです。

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