本日はバリトン奏者ペッパー・アダムスの初リーダー作を取り上げたいと思います。アダムスについては以前「アウト・オヴ・ジス・ワールド」で述べたようにデトロイト出身で同郷のドナルド・バードとのコンビでよく知られています。基本は東海岸のハードバップシーンで活躍していましたが、1956年から57年にかけては一時的に西海岸で活動していたようです。本作は1957年7月にLAで吹き込まれたもので、先日のエディ・コスタと同じくモード・レーベルから発売されました。例の水彩画のジャケットが採用されていますが、手前がリーダーのアダムスで、奥がトランペットのステュ・ウィリアムソンでしょう。ちなみに残りのメンバーはカール・パーキンス(ピアノ)、リロイ・ヴィネガー(ベース)、メル・ルイス(ドラム)です。
1曲目はナット・キング・コールのヒット曲"Unforgettable"。後に娘のナタリー・コールがカバーしてグラミー賞も取った名曲ですが、インストゥルメンタルのバージョンは珍しいですね。ミディアムテンポでリラックスした雰囲気の演奏です。2曲目は"Baubles, Bangles & Beads"。「キスメット」と言うミュージカルの曲ですが、ロシアの作曲家ボロディンの弦楽四重奏曲第2番からメロディを借用したそうです。演奏自体はバリバリのハードバップで、序盤からアダムスがブリブリとソロを吹き鳴らします。後を受けるパーキンス、ウィリアムソンのソロも快調ですね。続く"Freddie Froo"はアダムスのオリジナルとなっていますが、ほぼパーカーの”Moose The Mooche"です。4曲目は定番スタンダードの”My One And Only Love"。この曲はアダムスのワンホーンによるバラードです。5曲目は再びアダムスのオリジナルでマイナーキーのバップ”Muezzin'"です。全体的にハードバップ色強めですが、アダムスはデトロイト時代からバード、ケニー・バレル、トミー・フラナガンら黒人バッパーの中でプレイしてきましたのでそれも納得です。クロード・ウィリアムソンの弟ステュ(彼については以前のブログ参照)やカール・パーキンスのプレイもなかなか良いですよ。
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