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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

女将の駅弁

2010-04-15 21:40:46 | 各地お土産・食べ物
釣りキチ三平弁当」(昨年5月で発売終了)から約1年。4月1日、秋田駅に新しい駅弁が誕生した。
「あきたの宿おかみ弁当」関根屋製 1100円
地元紙でも発売前に記事になっていたが、JR東日本秋田支社からもリリース(本記事中の斜体部分。オリジナルはhttp://www.jreast.co.jp/akita/topics/okami/index.html:要Flash Player)があった。それによれば、
JRグループ協定旅館ホテル連盟秋田・津軽支部の会員施設の女将を中心として組織する「こまち会」(津軽23施設、秋田46施設)では、東北新幹線新青森開業を控え、地元のふるさとの味を観光のお客さまにお楽しみいただくため、女将達が自ら考案した(以下略)」駅弁とのこと。
年末の新幹線青森延伸に向け、JRやその協定旅館が関わって作った新しい駅弁ということだ。
秋田の新聞では触れられていなかったが、同時に「津軽の宿おかみ弁当」も発売されるそうだ。同じ趣旨で秋田版と津軽版があることになるが、これはJR東日本秋田支社の管轄地域と重なっているので、駅弁業者でなくJR側の意向=JR主導ということだろう。

値段はどちらも1100円だが、製造者と販売場所は異なり、(名称も「あきた」と「津軽」で漢字・かなが統一されていない)
 「あきたの宿~」は関根屋(秋田市)製で秋田駅の駅弁売場(改札内外各売場や立売)で発売
 「津軽の宿~」はウェルネス伯養軒(旧伯養軒。本社は仙台)青森支店製で青森駅と弘前駅で発売
弘前駅では、改札横の待合室内の小さなキオスクで扱うようだ。盛岡支社管轄の青森駅でも売るのは、製造業者の関係(青森が本拠地)だろう。車内販売はしないの?
期間限定などではない模様だが、新幹線開業後は新青森駅でも売るの?(現段階では新青森駅に駅弁業者が入るかどうか自体未定だろうけど、きっと伯養軒が入りそう)

今回は秋田版を紹介しますが、
秋田の「食」と「家庭料理」をイメージし、古くから伝わる郷土色豊かな味を再現しました。掛け紙には秋田の女性が古くから愛用した「かすり柄」を採用し、秋田県産の豚肉のアスパラ巻き、山内の芋のこの味噌田楽、秋田名物のハタハタやとんぶり、じゅんさいなど地域の地産地消にこだわり、懐かしい味を再現しました。」とのこと。
紐をほどいて掛け紙を取ると、
八角形の弁当箱とお品書きなどと共に、ピンク色の大きな不織布が現れた
これは「ひざかけ」。車内でこぼしても服が汚れないようにとの配慮らしく、季節毎に色が変わるとのこと。
中味
容器の色合いや量からして女性向けなのか? おかずにはどこかで見たことがあるような顔ぶれも…?
ご飯は2種類
あきたこまちの白飯に「味噌南蛮・ちょろぎ」添え
ひょうたんみたいな形のが、シソ科「チョロギ」という植物の塊茎(チョロギの場合、ジャガイモのように地下茎が肥大したもの)をたぶん酢漬けにしたもの。お節料理でおなじみだが、秋田県での生産が盛んなのだそうだ。味噌南蛮(青トウガラシの味噌漬?)はピリリと辛かった。ご飯は文句なしにおいしいが、ちょっと足りない。
もう1つが
「あきたこまちを比内地鶏のガラスープで炊き込げた」ご飯に「みず・竹の子」添え
以前紹介した、同じ製造元の「横手焼きそば弁当」には「比内地鶏の鶏めし」が付いていたが、微妙に違うような気がした。イマイチかな?
付け合わせの山菜の「みず醤油漬」って、前の「釣りキチ三平弁当」のご飯の上にあったのと同じヤツ?

おかずは、
秋田県産豚肉のアスパラ巻、山内芋のこ蒟蒻味噌田楽、ハタハタの甘露煮
この区画がとてもおいしかった。
ハタハタの甘露煮(下に尾の方も入っていて1匹分)はほどよい味加減で柔らかい。
「山内芋のこ」は横手市山内(さんない。旧山内村)地区特産のサトイモ。それをコンニャクにするとは初耳。コンニャクイモじゃなくてもコンニャクになるの? 普通のコンニャクより、もちっとした食感。
ほかには鮭の味噌マヨネーズ焼、ゼンマイや蕗の煮物、増田(横手市)産りんご煮などだが、
「とんぶりの揚蒲鉾」と
「じゅんさいの酢の物」は、完全に三平弁当の“使い回し”。
関根屋さん定番の「大根とニンジンのいぶりがっこ(たくあんのくん製【2012年3月5日補足】正確には“燻製乾燥した野菜のたくあん”)」も入っている。
「女将が考えたメニュー」ではあるかもしれないが、「関根屋さんが調達しやすいメニュー」でもあるみたいだね。

全体としての感想は、ご飯が少ないのは好みの問題だし、女性向けの弁当のようなのでそれはいい。
気になるのは、多くのおかずの味がしょっぱめなこと。僕は秋田人にしては薄味を好む方だと思っているが、関東以西の方には、これではしょっぱすぎると思う。
「酒の肴」目的の濃い味の駅弁も各地にあるが、これはそういう性格ではないだろうから。

なお、味付けに関しては「衣類等を汚さない気配りで料理に味付けをしていますので、醤油等は付いていません。」とのこと(津軽版も共通)。
調味料の別添えがないというのは、うれしい。狭い列車内では、衣類はもちろん指先やテーブルを汚すと拭くのが面倒だし、調味料がおかずの下に隠れていたり、味付けが充分だったりで、使わずに無駄にしてしまうことがあるから。

あとは、これで1100円は高い。せめて1000円にならないかな。ひざかけなんかいらないから。

それと、関根屋さん。ホームページを更新してくれませんかね。トップには「09.05.30 「釣りキチ三平弁当」販売終了しました」とあるけど、駅弁紹介のページにはまだ掲載されていて「新商品」になってるんですけれど…(もちろんおかみ弁当については一言も書かれていない)※ウェルネス伯養軒にはホームページ自体がないけれど、なければないでいい。でもホームページをアップした以上は、しっかり維持・管理してほしい。


さあ、そうなると気になるのが、「津軽の宿おかみ弁当」。
こちらは、淡い色合いの柄の入った風呂敷状のもので包まれており、それがひざかけになるそうだ(季節で柄が変わる)。
長方形の2段重で、「一の重には青森県産りんごの赤ワイン煮ベーコン、十和田湖産姫鱒西京焼き、帆立の素焼き、イガメンチ(原文のまま)、ばっけ(ふきのとう)の味噌焼き等」「二の重には津軽地方ならではの紅生姜入り稲荷、太巻き、すしこ、ご飯は青森県産の「つがるロマン」を使用」という内容とのこと。(陸奥新報オンライン版では「イメンチ」「ナガイモのばっけみそ焼き」となっていた)
「すしこ」というのは、「赤めし」とも呼ばれ、津軽地方(深浦周辺)や秋田県北部で作られる“餅米の漬け物”。
実物も詳細な写真も見ていないが、秋田版より、おかずに肉や魚が多く、ごはんがたっぷり入っている印象を受けた。

ところで、これとは別に、弘前では「駅弁・空弁・津軽弁プロジェクト」という、新幹線開業にあわせて地元業者から公募した弁当を「津軽弁」として売り出す計画がある。
先日、なんと36種類もそれに認定され、さくらまつり期間中の販売開始を目指して準備中で、季節ごとにさらに募集する計画とのこと。
今までは駅弁が定着せず、空白期間や業者交代が繰り返された弘前だったが、新幹線開業を機に一挙に増えるのだろうか。
※津軽版も食べました
コメント
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