※本記事には画像はありません。
突然ですが、この漢字、読めますか?
叡陵
秋田県南部の湯沢市にある県立湯沢北高校と県立湯沢商工高校を統合し、来年春、開校する高校名が「秋田県立湯沢叡陵高等学校(仮称)」に決まった。その「叡陵」。
同時に、北部の北秋田市の3県立、1市立高校を統合してできる高校は「県立秋田北鷹高校(仮称)」になったが、これは「ほくよう」と読む。
「県北部や北秋田市に設置すること、鷹巣という地名と鷹(たか)のように若人が力強く羽ばたいてほしいという願いが込められている(毎日新聞秋田版より)」とのこと。名称は公募され、応募総数755件中、「北鷹」が最多の81件だった。
所在地「鷹巣(たかのす)」から1字取って訓読みから音読みに変えたわけだ。「ほくおう」と読まれないかとか、お笑い芸人「北陽」の出身校・埼玉県立久喜北陽高校と紛らわしくないかとか心配だが、地名の1字であり、公募1位でもあるので、これ以上は触れないことにする。問題は「叡陵」。
「叡陵」は「えいりょう」と読み、
「優れた才能を意味する「叡」と、湯沢から望む奥羽の山脈をイメージするとともに、他に勝るという意味の「凌」に通じる字として「陵」が選ばれた(毎日新聞秋田版より)」という。
こちらは1245件の応募中、「叡陵」はゼロ。
「陵」を使用した応募が多かったので参考とし、県教育庁内で検討して決定したという。「数に左右されず、よりふさわしい校名を付けた(秋田魁より)」のだそうだ。
「こまち」や「はやて」など(「のぞみ」もだったかな)列車名の公募でも応募数1位で決まるわけではない。人気投票でなく、運営側の意向があるのは当然だが、この「叡陵」は、おかしいと思う。
理由は、「読めない・書けない・覚えられない」に尽きる。
「比叡山」の「叡」と覚えれば読みはまあ大丈夫だが、書けない。常用漢字表外であり、直接地元と関係のない「叡」という字をなんでわざわざ持ってきたのか。進路学習で中学生が書くこともあるし、部活動が活躍するなどして県外の人が読み書きすることだってある。
「比叡山」を連想してしまい、秋田県の高校とは思ってもらえないかもしれない。
隣の横手市には「県立横手清陵学院中学・高校」があり、それと混同することもありそう。
とにかく、間違われる可能性が高そうな校名だと思う。母校の名を何度も間違われたら生徒はどう思うだろう。
僕は湯沢とはほとんど縁がないが、湯沢市民の皆さん、合併することになる両高校の関係者の皆さんは、「叡陵」をどう受け取っているのだろうか。(ブログ検索すると、数件ヒットしたが、いずれも否定的意見だった)
校名は、6月県議会で審議されて正式決定されるそうだが、どうせすんなり可決されてしまうことだろう。
(秋田市街地の再開発計画にしたって、会期延長までしながら、最後は県の言い分をすっかり認めてしまった秋田県議会なんだからね~)
ついでに言わせてもらえば、2005年に秋田市千秋公園そばに開校した、定時制・通信制の「秋田県立秋田明徳館高等学校」(とそれが入る「明徳館ビル」という建物)という名もおかしいと前から思っていた。
「明徳館(めいとくかん)」というのは、旧秋田藩の藩校の名称。それをもらったのだろう。
それはいいのだけど、高校のすぐそば(400メートル程度しか離れていない)には「秋田市立中央図書館“明徳館”」が存在しているのだ。20年以上も前から。※図書館ができたのは1983年
昔は、単に「明徳館」と言えば図書館のことを指していたが、後から高校ができたばっかりに、わざわざ「図書館の明徳館」などと区別して呼ばなければいけないのが、(秋田県民でなく)秋田市民としては腹立たしい。
高校が入るビルでは、大学等が連携した公開講座が行われているし、図書館でも各種イベントが行われており、一般市民はどちらの施設も利用する可能性がある。利用の際は充分な確認が必要で、紛らわしいことこの上ない。
実際、混乱している人がいるようで、図書館の近くで、高校に行きたくて道に迷っている人を見たことがある。
秋田県(秋田県教育庁)は、“他人(秋田市や一般県民・市民)の迷惑”を考えているのだろうか?
そういえば、秋田県庁の知事部局では、4月から一部の部や課の名称を「分かりやすく簡潔」なものに変えた。
教育庁管轄とはいえ、県立学校だって“県の出先機関”ととらえることができるはず。よく分からない漢字、既存施設と競合する名称を使った校名が「分かりやすく簡潔」だとは僕は思えない。
【20日追記】秋田放送テレビ(ABS。日テレ系列)の夕方のニュースで、「叡陵」の名称に地元から異論が出ていることを取り上げていた。(1日先にアップしていてよかった~)
湯沢市民へのインタビューでは、新しい高校名だと認識しても読み方が分からないなど、読めない人が多かった。また、湯沢北高の同窓会では、反対意見をとりまとめて、県へ要望する予定であるとのことだった。
県教育庁高校教育課の担当者(ナントカ推進班の班長)が「ぜひとも地元の皆さんには“叡”の字を覚えていただいて…」などと苦しいコメントもしていた。
【26日追記】進展がありそうな気配。続報はこちら(←リンク先記事の最後にあります)
突然ですが、この漢字、読めますか?
秋田県南部の湯沢市にある県立湯沢北高校と県立湯沢商工高校を統合し、来年春、開校する高校名が「秋田県立湯沢叡陵高等学校(仮称)」に決まった。その「叡陵」。
同時に、北部の北秋田市の3県立、1市立高校を統合してできる高校は「県立秋田北鷹高校(仮称)」になったが、これは「ほくよう」と読む。
「県北部や北秋田市に設置すること、鷹巣という地名と鷹(たか)のように若人が力強く羽ばたいてほしいという願いが込められている(毎日新聞秋田版より)」とのこと。名称は公募され、応募総数755件中、「北鷹」が最多の81件だった。
所在地「鷹巣(たかのす)」から1字取って訓読みから音読みに変えたわけだ。「ほくおう」と読まれないかとか、お笑い芸人「北陽」の出身校・埼玉県立久喜北陽高校と紛らわしくないかとか心配だが、地名の1字であり、公募1位でもあるので、これ以上は触れないことにする。問題は「叡陵」。
「叡陵」は「えいりょう」と読み、
「優れた才能を意味する「叡」と、湯沢から望む奥羽の山脈をイメージするとともに、他に勝るという意味の「凌」に通じる字として「陵」が選ばれた(毎日新聞秋田版より)」という。
こちらは1245件の応募中、「叡陵」はゼロ。
「陵」を使用した応募が多かったので参考とし、県教育庁内で検討して決定したという。「数に左右されず、よりふさわしい校名を付けた(秋田魁より)」のだそうだ。
「こまち」や「はやて」など(「のぞみ」もだったかな)列車名の公募でも応募数1位で決まるわけではない。人気投票でなく、運営側の意向があるのは当然だが、この「叡陵」は、おかしいと思う。
理由は、「読めない・書けない・覚えられない」に尽きる。
「比叡山」の「叡」と覚えれば読みはまあ大丈夫だが、書けない。常用漢字表外であり、直接地元と関係のない「叡」という字をなんでわざわざ持ってきたのか。進路学習で中学生が書くこともあるし、部活動が活躍するなどして県外の人が読み書きすることだってある。
「比叡山」を連想してしまい、秋田県の高校とは思ってもらえないかもしれない。
隣の横手市には「県立横手清陵学院中学・高校」があり、それと混同することもありそう。
とにかく、間違われる可能性が高そうな校名だと思う。母校の名を何度も間違われたら生徒はどう思うだろう。
僕は湯沢とはほとんど縁がないが、湯沢市民の皆さん、合併することになる両高校の関係者の皆さんは、「叡陵」をどう受け取っているのだろうか。(ブログ検索すると、数件ヒットしたが、いずれも否定的意見だった)
校名は、6月県議会で審議されて正式決定されるそうだが、どうせすんなり可決されてしまうことだろう。
(秋田市街地の再開発計画にしたって、会期延長までしながら、最後は県の言い分をすっかり認めてしまった秋田県議会なんだからね~)
ついでに言わせてもらえば、2005年に秋田市千秋公園そばに開校した、定時制・通信制の「秋田県立秋田明徳館高等学校」(とそれが入る「明徳館ビル」という建物)という名もおかしいと前から思っていた。
「明徳館(めいとくかん)」というのは、旧秋田藩の藩校の名称。それをもらったのだろう。
それはいいのだけど、高校のすぐそば(400メートル程度しか離れていない)には「秋田市立中央図書館“明徳館”」が存在しているのだ。20年以上も前から。※図書館ができたのは1983年
昔は、単に「明徳館」と言えば図書館のことを指していたが、後から高校ができたばっかりに、わざわざ「図書館の明徳館」などと区別して呼ばなければいけないのが、(秋田県民でなく)秋田市民としては腹立たしい。
高校が入るビルでは、大学等が連携した公開講座が行われているし、図書館でも各種イベントが行われており、一般市民はどちらの施設も利用する可能性がある。利用の際は充分な確認が必要で、紛らわしいことこの上ない。
実際、混乱している人がいるようで、図書館の近くで、高校に行きたくて道に迷っている人を見たことがある。
秋田県(秋田県教育庁)は、“他人(秋田市や一般県民・市民)の迷惑”を考えているのだろうか?
そういえば、秋田県庁の知事部局では、4月から一部の部や課の名称を「分かりやすく簡潔」なものに変えた。
教育庁管轄とはいえ、県立学校だって“県の出先機関”ととらえることができるはず。よく分からない漢字、既存施設と競合する名称を使った校名が「分かりやすく簡潔」だとは僕は思えない。
【20日追記】秋田放送テレビ(ABS。日テレ系列)の夕方のニュースで、「叡陵」の名称に地元から異論が出ていることを取り上げていた。(1日先にアップしていてよかった~)
湯沢市民へのインタビューでは、新しい高校名だと認識しても読み方が分からないなど、読めない人が多かった。また、湯沢北高の同窓会では、反対意見をとりまとめて、県へ要望する予定であるとのことだった。
県教育庁高校教育課の担当者(ナントカ推進班の班長)が「ぜひとも地元の皆さんには“叡”の字を覚えていただいて…」などと苦しいコメントもしていた。
【26日追記】進展がありそうな気配。続報はこちら(←リンク先記事の最後にあります)